企業のChatGPT利用率 米国51%、日本7% 要因は?日米1.3万人に調査(2/2 ページ)

» 2023年06月24日 08時18分 公開
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ChaGPTの利用目的 1位「業務効率化」

 ChaGPTを利用する目的を聞いたところ、日米ともに「既存業務の効率化」が大半を占め、「新規事業での活用」や「教育・研修の高度化」は次なる目標として位置付けていた。

photo ChatGPTの利用用途

 ChatGPT利用者に聞いた具体的な用途では、日本では利用率の高い順に「文章生成」(68%)、「文章要約」(48%)、「文章校正・構造化」「情報検索」(ともに47%)となった。これに対し、米国も「文章生成」(77%)、「文章要約」(66%)、「文章校正・構造化」(65%)の順だった。

 具体的には「メールなどの定型文を作成する」「議事メモを要約する」「膨大な情報があるときの整理」など、業種や部門に寄らない事務作業を効率化する用途が目立った。

 利用率の高い人事部門では、「面接の質問案」「求人票の言い回し」などアイデアの生成にも利用していた。先行する米国では日本よりも用途が幅広く、「アイデア生成」(日本25%、米国60%)などのクリエイティブな作業や、GPT4を活用した「自然言語でのコーディング」(日本14%、米国45%)と割合が高かった。

現在の満足度は?

 生成された内容について満足度を尋ねた。用途ごとに若干の差はあるものの、10段階評価で概ね6〜7点と評価していた。さらに、9割以上の利用者が「今後も利用継続したい」と答えたことが分かった。

 利用を維持・拡大するための課題については、日米とも「回答の精度」(日本49%、米国45%)で日本が5割弱を占めた。満足度や利用継続意向は高いため、より高精度な回答を求めていることがうかがえた。

photo ChatGPTを利用維持・拡大していく上での主な課題

ソフトバンクやパナソニックで導入進むChatGPT

 MM総研は「ChatGPTでは指示の出し方(プロンプト)で結果が大きく左右されることが知られており、現在はSNS、まとめサイトで個人間や特定のコミュニティで共有しているという。ソフトバンクやパナソニックなどは全社での利用を進め、自社で使いやすさを見つける先進企業も出てきた。今後はより広いハブを構築し、業界や業務ごとにより良いプロンプトや活用事例を整理する必要も出てくるだろう」と推測している。

 ただ、「今回の調査で、米国ではChatGPTを社内で広く使っていくことを前提に、雇用機会の観点で『従業員にどう説明し、使っていくか』が課題となり始めている」とも指摘。「ChatGPTを試すスタートダッシュで日米間で差が出てしまった。足元では日本企業のChatGPTに対する関心も高い。ChatGPTノウハウのハブ機能を持ち、適切に横展開できれば、利用率を押し上げ、業務・業界に特化したソリューションやLLMの構築にも期待が持てる」とした。

 今回の調査は、日本と米国の企業・団体に所属する従業員を対象に、インターネットで行った。期間は5月24〜31日、有効回答数は1万3814人(日本1万3412人、米国402人)。

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