いまだにChatGPTの禁止を議論している組織が知っておくべき、AI開発競争の未来(3/4 ページ)

» 2023年06月30日 17時24分 公開
[徳力基彦ITmedia]

すでにオープンソースの言語モデルも登場

 そうした「大規模言語モデル」の民主化を象徴するのが、Stability AIが4月に配布を開始した商用目的での利用が可能なオープンソースの言語モデルである「StableLM」の登場です。

(参考:ChatGPTとBardの対決を超える“事件”。無料の「StableLM」登場で「AIの超民主化」争いが始まった

 この「StableLM」を発表したStability AIは、昨年8月に画像生成AIでも同様に「Stable Diffusion」というPCでも動作可能なAIモデルをオープンソースで無償公開して大きな話題を呼んだ企業です。

 実は、「Stable Diffusion」公開までは、GoogleやOpenAIなどのAI開発企業は、総じてAIを一般に公開するのは社会への影響が大きすぎると、基本的にサービスを一部の大企業や研究者のみに公開してきました。

 しかし、Stability AIは逆に「すごいAIを、一部の大企業や個人が独占するのは健全ではない」という思想を持っており、画像生成AIをオープンソースで公開してしまいました。

 実は、OpenAIがChatGPTを昨年11月に一般公開したのは、明らかにこのStability AIのオープンソースのアプローチに影響された判断だと考えられています。

 その結果、マイクロソフトもグーグルも、世界中の企業がなだれをうったように、一斉に一般向けにAIサービスを公開する流れが生まれたわけです。

 つまり、昨年8月にStability AIがAI開発のパンドラの箱を開けたことで、世界が一気にAIのサービスをオープンにする流れに変わってしまったといえるでしょう。

(参考:人工知能の無料配布は、パンドラの箱か、新しい世界変革のはじまりか

 つまり、ChatGPTと似たようなサービスや、更に進化したサービスが、これからまだまだ大量に登場してくる可能性が拡がっているわけです。

 もはや企業1社の単位で、ChatGPTやAIサービスの禁止を議論していても意味が無いような、大きな変化が起ころうとしていると考えるべきでしょう。パンドラの箱は、すでに開いてしまっているのです。

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