韓国料理なら何でも流行る!? 若者で連日満席の店も 外食大手が熱視線を送るワケ：長浜淳之介のトレンドアンテナ（6/6 ページ）

[長浜淳之介，ITmedia]

スンドゥブに魅せられた

　スンドゥブに特化した業態では、「東京純豆腐」というチェーンがある。

　06年、1号店を東京・青山に出店。現状は全国に36店を展開、海外にもアジアを中心に4カ国10店舗を出店している（22年10月現在）。スンドゥブという料理はかなり一般化してきたが、この店の貢献度が高い。

東京純豆腐の店舗

　経営は、ビーンズワンカンパニー（東京都豊島区）。平山浩二社長は、米・ニューヨークで出合ったスンドゥブに魅せられ、米国、韓国、日本で何百食と食べ歩き、研究の末に東京純豆腐の味に到達したとのこと。「スンドゥブを国民食に」という壮大な目標がある。

東京純豆腐のメニュー

　同チェーンの特徴は「スンドゥブ」のバリエーションが豊富なこと。公式Webサイトによれば、お肉のスンドゥブが「ホルモンスンドゥブ」など8種類、魚介のスンドゥブが「海の幸スンドゥブ」など5種類、野菜のスンドゥブが「5種野菜スンドゥブ」など4種類、「オリジナルスンドゥブ」が「豚肉とほくほくじゃがいものキムチスンドゥブ」など5種類。全部で22種類もある。

殻付きあさりスンドゥブセット、1330円

　しかも、スープを塩スープ、みそスープ、辛くない白いスープと、3種類から選べるようにしている。辛さも6種類、ご飯の量も3種類から選択可能だ。プラス50円から、プラス350円まで、30種類ものトッピングもあって、カスタマイズの可能性は無限に近い。顧客が自分好みにいかようにもアレンジできるのが、東京純豆腐の強みなのである。

東京純豆腐の季節メニュー、豆乳冷麺｡1300円（出所：東京純豆腐公式Webサイト）

　このように、韓国料理は過去何回かのブームを経て、定番の1つとして定着してきた感がある。しかし、韓国式チーズドッグ（ハットグ）、韓国式かき氷のパッピンスのように、一時期大流行したものの、もうほとんど見なくなった業態もある。今後、どのように進化していくか、それとも廃れるのか、動向を見守りたい。

著者プロフィール

長浜淳之介（ながはま・じゅんのすけ）

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか？』（交通新聞社新書）など。