ではなぜ、Z世代は「個」を尊重する傾向を持つのか。武石氏は「SNSの影響」を指摘する。
Twitter、InstagramなどSNSの多様化、各種サブスクリプションサービスの登場により、スマホを持っているだけで「自分の好きなモノ」を楽しめるようになった。SNSやサブスクは黙っていても自分の好きな、欲しい情報が手に入るため、テレビやインターネットから自分で情報を収集する必要がなくなったのだ。
そういった環境やタイパ(タイムパフォーマンス)意識などが影響して、Z世代は「自分に合うものを選ぶ」「意味・価値を重要視」という特徴を持つようになったという。
「その一方で、大量の情報を処理しきれず、必然的に選ばざるを得ない環境ともいえます」(武石氏)
このように「意味・価値を重要視」「自分に合うものを選ぶ」特徴を持つZ世代と上司世代では、認識の齟齬(そご)が生まれることも多い。「最近の若者は〜」「全くおじさん世代は〜」といった嘆きが聞こえることもしばしば。例えば以下のような事例がある。
<例1>
部下: この仕事やる意味ありますか?(社会には似たようなサービスがあるのだから、自社でやる必要はあるのだろうか。もっとやりがいのある仕事があるはず。)
上司: 経験が浅い中であれこれ考えていても解は見えないし、まずはやってみて考えようよ。(やってみないと分からないのでは? せっかく仕事を任せてもらっているのにどうしてそういうことを言うのだろう。)
<例2>
部下: 今の仕事は自分の希望したものではなく、やる気が出ません。異動したいです。
上司: そうか、それはつらいよね。でもまだ配属して間もないし、もう少ししたら楽しくなるよ!
部下: (この上司何も分かってくれないなあ。言っても仕方がないし、もう相談するのはやめよう。)
上司: (辞められたら困ると思ってせっかく優しく話したのに、なんで浮かない表情をしているんだ? 腫れ物を触るようで疲れるなあ。)
このように上司とZ世代が互いの価値観の違いを嘆く声をよく聞くが、上司もZ世代もお互いを困らせたいと思っているわけではない。ただ双方の“当たり前”が異なるが故に、互いにストレスを感じてしまうのだ。
「上司世代は目の前のことを自分に合うものにしていく傾向が、Z世代は数多くの選択肢から合うものをマッチングする傾向が強いのです。こういった“当たり前”の差異は、関係性を分断する要素になり得ます。この分断をそのままにしておくと、問題として表面化するリスクが高くなります」(武石氏)
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