シャワーヘッド「ミラブルzero」が20万台以上も売れた どのように開発したのかシャワーじゃないシャワー(4/6 ページ)

» 2023年07月06日 08時00分 公開
[大澤裕司ITmedia]

知財で苦戦した止水機能の開発

 ミラブルzeroでは、シリーズで初となる一時止水機能を搭載した。これまでは美顔器のような利用を想定していたことから、手持ちでも使いやすいようできるだけ軽くつくることにしていたが、利便性を向上させることにした。

 本体にある一時止水ボタンをグッと押し込むと水が止まる。操作感はやや重めで最後まで押し込まないと止水できないが、途中で押し込むのをやめると水量が減るので、押し込み具合で水量が調整できるようになっている。

赤丸で囲んだところが一時止水ボタン

 ただ、止水するための止水弁の機構で苦戦を強いられた。採用しようと考えていた構造が使えないことが重なったからであった。平江氏は次のように明かす。

 「他社の特許に抵触してはいけないので、知財面で問題ないかどうかを調べるのですが、止水弁の機構は意外と出願されていました。似ているものは特許侵害とみなされる恐れがあるので、そういうものはあきらめて新しく設計し直すことがありました」

 同社がつくろうとしたのは、トラブルが発生しないよう水圧を適切なタイミングで逃しながら流量も調整する機構。他社の特許に抵触することが理由で、相当数のアイデアがボツになった。試作までしながら他社の特許に抵触することが分かったことから、図面を破って泣く泣くあきらめたアイデアも2つほどあった。

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