コロナ前より業績上回るケースも “勝ち組”外食企業の共通点とは上場企業の業績を分析(2/3 ページ)

» 2023年07月11日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

業態別の傾向は?

 業態別に見ると、売り上げ・営業利益ともにコロナ前を上回る成長をしているのが総合型とファストフードです。売り上げはコロナ前を上回っているものの、利益がまだ回復していない業態(おそらく原価・人件費・光熱費の高騰の影響を受けている)がカフェ、焼肉、回転すし。売り上げ・利益ともにコロナ前の水準に達していないのが定食、ファミレス、居酒屋となっています。特に居酒屋の状況は厳しく、売り上げはコロナ前の4割減という状態です。

 企業別に見ると、コロナ影響をもろともしない企業がいくつか目立ちます。

 日本マクドナルドは19年売り上げ対比125.0%、営業利益対比120.7%です。ギフトホールディングス(横浜家系ラーメン「町田商店」などを運営)は同188.0%、同156.2%。丸亀製麺を運営するトリドールは同120.3%、同171.0%。ダスキンフードグループのフード事業(ミスタードーナツを運営)は同123.3%、同803.7%という驚異的な数値を達成しています。

 回転すし大手であるFOOD&LIFE COMPANIES(スシローを運営)やくら寿司、元気寿司は売り上げが19年対比120%以上と回復しているものの、営業利益はコロナ前を下回っており、収益構造の改善に課題を抱えていることがうかがえます。

 堅調な成長を続け、最も営業利益率が高いのがコメダホールディングスです。本調査対象企業の平均営業利益率が2.6%である一方、コメダは21.2%と大変高い収益性を誇っています。理由としては、コメダがフランチャイズ主体であることに加えて、絞られた食材で人気メニューを確立し、幅広いターゲットに支持を受けていることが特徴です。朝はオールターゲット、午前は高齢者、昼は子連れの主婦、午後はサラリーマン、夕方は学生といったように、多様なターゲットの来店でアイドルタイムをつくらないモデルが影響していると予想されます。

 回転率を重要指標として求めがちなカフェ業界において、コメダはその逆をいく、“長居率”を重視しているかのようにも見えます。「お客さまが居心地のいい場所」を提供していることも大きな特徴なのではないでしょうか。

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