安さを維持するのは並大抵のことではない。安価なイタリアンを実現するため、サイゼリヤは原料生産から店舗運営に至るまで徹底した効率化を図っている。
例えば、一般的なレタス1玉からはサラダ2〜3皿分しかとれないが、自社で品種改良を進め5〜7皿分取れるレタスを開発した。物流においては商社を介さずにワインをイタリアから直輸入し価格を抑えている。生産に関してはコストを抑えるため、ハンバーグやミラノ風ドリアに使われるホワイトソースをオーストラリアの現地工場でまとめて生産している。
料理についてはカミッサリー(工場)で加工し、できるだけ店舗の負担を少なくするよう工夫しているようだ。サラダの場合、店舗スタッフは工場から送られてきたレタスなど素材を盛り付けるだけで良い。ミラノ風ドリアに至っては店舗にあるコンベア式のオーブンで焼くだけだ。驚くべきことに店舗での調理に包丁は必要ないそうだ。
こうした工夫もあってサイゼリヤの店舗は一般的なファミレスよりキッチン面積を狭くすることができ、少ない人員での売り上げ確保に成功している。
サイゼリヤは自社を飲食業界の「SPA(製造直販業)」と位置付けている。SPAとは製品開発から物流、小売までを管理するビジネスモデルであり、ユニクロやニトリがこれにあたる。上流から下流までを管理し、仲介業者によるマージンを排除することで安さを実現しているのである。
こうしたビジネスモデルにより圧倒的な安さを維持し続けてきた結果、サイゼリヤは消費者に支持されるチェーンとなった。例えば、サービス産業生産性協議会の22年度調査によると、飲食部門における顧客満足度はモスバーガーやびっくりドンキーを上回って1位を獲得している。
また、LINEリサーチの「一番好きなファミリーレストランは?」という22年調査でも、全体1位という結果が出ている。好きな理由を尋ねると、1位は「値段が安いから」(68.7%)で、「コストパフォーマンスがいいから」(54.0%)、「料理がおいしいから」(43.3%)と続く。全体2位のびっくりドンキーを支持する理由のトップ3が「料理がおいしいから」「コストパフォーマンスがいいから」「お店の雰囲気や内装がいいから」ということを踏まえると、安さが武器になっていることが分かる。
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