日本の外食文化は「迷惑動画」で破壊されてしまうのか? スシローとくら寿司で見かけた心強い光景長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)

» 2023年02月21日 06時45分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 回転すしから始まった一連の迷惑動画・画像のSNS投稿は、俗に「すしテロ」と呼ばれている。「スシロー」「はま寿司」「くら寿司」「すし銚子丸」が次々と標的にされ、社会問題化している。しかも、うどん「資さんうどん」、牛丼「吉野家」、ビュッフェ形式のしゃぶしゃぶ「しゃぶ葉」、カラオケ「まねきねこ」などにも迷惑行為は広がり、毎日のように新たな投稿が発覚している状況だ。2月19日、ラーメン「どうとんぼり神座」で撮影された迷惑動画も発覚した。

各社は迷惑動画の対応に追われている(記事中の画像は迷惑行為が発生した店舗とは無関係、以下同)

 最初は、はま寿司の動画が問題となり、くら寿司、スシローと同業他社に波及。さらには他の外食にも広がっていった。

 その中でも最も衝撃的だったのは、スシローの店舗で撮影された、湯呑をなめ回して元の保管場所に戻す動画。しょうゆ差しも直に吸っていた。1月29日に発覚したもので、「スシローぺろぺろ事件」とも呼ばれ、SNSで世界中に拡散されている。

 事件はTVのワイドショーなどでも取り上げられた。「もう回転すしには行けない」などといった書き込みがSNSに次々と投稿されていると紹介。「気持ち悪い」と感じる視聴者が増えた結果、集客に影響し、終日店舗がガラガラになる現象も起きた。

 スシローを経営する「あきんどスシロー」(大阪府吹田市)の親会社、FOOD & LIFE COMPANIESの株価は業績悪化の懸念から急落。時価総額が一時期、約170億円も吹き飛ぶ事態にまで発展した。

 迷惑行為をした高校生は、ちょっとした悪ふざけくらいの気持ちで、投稿したのだろう。話のネタとして、数人の友人・知人が見て、面白がってくれたり、気持ち悪がってくれたりしたら、それで良かったのかもしれない。

 ところが、新型コロナウイルスのまん延で、いまだに日本では唾液の飛沫が飛ばないように、屋内外を問わず、大多数の人がマスクを着用している状況だ。動画の悪ふざけは度が過ぎていた。

 案の定、「こんなとんでもない人がいる」と想定外に拡散され、回転すしのみならず、外食のセルフサービスのビジネスモデルが崩壊しかねない大問題に発展してしまった。

 被害に遭った外食各社の中には、警察に被害届を出し、刑事・民事の裁判も辞さない厳しい態度を示しているところもある。それにもかかわらず、迷惑動画は投稿され続けている。また、過去の問題ある投稿をわざわざ発掘してきて、拡散する動きもある。

 大半の動画は迷惑系ユーチューバーに影響を受けたと思われる高校生、大学生によって撮影されているようだ。そして、TikTokとインスタグラムのストーリーによって投稿されているのが特徴。それを発見した別の暴露系と呼ばれる人が、TwitterやYouTubeに転載して拡散するケースも多い。バズる動画を投稿すれば、再生回数によりインフルエンサーとして収入につながるので、迷惑動画を探している模様だ。

 迷惑動画の被害に遭った企業は、どのような対策を打っているのか。まとめてみた。

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