ファミマで最も売れている弁当はがっつり系!? 取材で見えてきた「勝利の方程式」経済の「雑学」(1/2 ページ)

» 2023年07月29日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 ファミリーマート( 東京都港区)が2017年8月に発売した「3色そぼろ&チキン南蛮弁当」(568円)が、同社の弁当カテゴリーで圧倒的な強さを維持している。2022年1〜12月の売り上げ金額ランキングでは1位だという。なぜ、ここまで支持されているのか。同社で弁当の開発を担当している藤田かほり氏に話を聞いた。

ファミマで最も売れている弁当は?

 同弁当は、鶏そぼろ、玉子そぼろ、ごま高菜を盛りつけたご飯と、チキン南蛮を組み合わせているのが特徴。タルタルソースにはタマネギやみじん切りのピクルスが入っており、さっぱりと食べ進みやすい仕立てにしている。17年の発売以来、その時々のトレンドを意識しさまざまなリニューアルを繰り返しているという。例えば、甘酢の甘みや酸味のバランスを改良したり、タルタルソースの味付けや色を変更したりといった具合だ。

2022年に最も売れた「3色そぼろ&チキン南蛮弁当」(568円、提供:ファミマ)

 ファミマで弁当を購入するのは20〜50代の男性が多い。その主要顧客層に向けたボリュームのある商品であり、食べ応えのある設計としている。原材料高騰などの影響で発売時より値上げはしているが、購入しやすいように500円台をキープしている。夜より昼に売れるため、職場でのランチ需要が多いのではないかと藤田氏は分析する。

 なぜ、ここまで売れているのだろうか。藤田氏は「ボリューム感」「500円台という価格設定」「支持される定番メニューの組み合わせ」を挙げる。

期間限定で肉増量した「3色そぼろ&チキン南蛮弁当」と通常版

 3色そぼろ&チキン南蛮弁当の総カロリーは794キロカロリー(九州地方は849キロカロリー)で、しっかり食べたい男性客に支持されやすい。ファミマのボリューム系弁当には600円台の商品もあるが、それと比べると安価だ。そして、3色そぼろとチキン南蛮という支持されている定番メニューを組み合わせているからこそ、継続して売れている。ボリューム、価格、メニューという「勝利の方程式」に当てはまっているともいえよう。

 弁当コーナーは全体的に「茶色っぽい」というイメージがあるが、同弁当はタルタルソースと卵そぼろがあるので、色どりも良い。売り場の中で比較的目立つ存在だ。

 弁当が他のカテゴリーと比べて、購買行動が保守的な面も影響しているかもしれない。弁当より安いおむすびやサンドイッチは、新しい味に気楽にチャレンジできる。一方、弁当は比較的単価が高いため、日常使いが多いコンビニでは、別の商品を試してみようという気持ちになりにくい可能性もある。

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