「私が入社した19年9月時点で法務部門の従業員は、ベテラン社員と4月に配属された新入社員と私の3人だけでした。人数が少ないうちはメール受付で対応できていましたが、メンバーが増えていくにつれ、依頼する側も『誰に頼めば良いか分からないし、依頼しやすい人に頼もう』と業務負担が特定の人に偏るようになりました」(牛水氏)
そこで20年に法務部向けの申請システムを構築し、業務負担の標準化を推進。時を同じくして、AI契約書レビュー支援ツールの導入にも踏み切った。
「法務部門の人員不足を補うために、どう省力化するか考えていました。その一環としてAI契約書レビューの導入を決めました。さまざまな検証をした上で導入しましたが、修正すべき点や抜け漏れなどを機械的に判断できる他、担当者の基準によって判断の差があった部分をなくし、誰が担当しても一定の水準でサービスを提供できるようになった点は非常にメリットだと感じています」(牛水氏)
DX推進のおかげで業務効率化を図れた同社。しかし多くの企業においては、バックオフィスのDXはどうしても後手に回りがちだ。売り上げに直結する部門とは異なり、DXによる効果が見えづらいため、現場は推進したくても経営層の承認を得られないとの課題を抱えている人も少なくない。
大創産業ではどのように社内調整を進めたのか――牛水氏に尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。
「法務部門が抱えている業務量を上層部へ明確に提示しました。その上で、AI契約書レビューの導入は人件費に比べてコストが低く、業務効率化を図ることで空いた時間で他の必要な業務に対応できることなどを提案しました」(牛水氏)
また、業務効率化以外の目的を提示できたのも導入の後押しになったと牛水氏。大創産業では、法務部門の新人教育にもAI契約書レビューを活用しているという。AI契約書レビューの解説表示機能を活用し、法務経験の浅いメンバーに修正箇所のポイントなどを学んでもらっている。
「契約書といっても多種多様なタイプがあるので、このときはここが大事で、あのときはここ――と判断する必要があります。学ぶ方法はたくさんありますが、AI契約書レビューをうまく活用して、実践を踏みながら知識を身につけてもらった方が効率的です。教える側も、イチから確認して指導するより負担が軽減されました」(牛水氏)
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