法務省は8月1日、デジタル技術を活用した司法関連サービス「リーガルテック」の活用ガイドラインを公表した。現在提供されている「AI契約レビュー」は一部の例外を除き、違法に当たらないとの見解を示した。
近年、成長分野として注目が集まるリーガルテック。特に、契約書の文面をAIを活用して作成したり、問題点などを洗い出し、契約審査の補助をするAI契約レビューは、国内でも複数社がサービスを提供しており、導入企業も増加しつつある。一方、弁護士以外が法律事務を取り扱うことを禁じる「弁護士法72条」との関係が課題となっていた。
今回のガイドラインでは、弁護士法72条で示されている「報酬を得る目的」「法律上の争いや疑義がある案件」「法律上の専門的知識に基づいて法律的見解を述べる」のいずれかに該当しない場合、リーガルテックの提供は弁護士法に違反しないとしている。
また、仮に3つの要件を満たしている場合でも、弁護士や弁護士法人がサービスの提供を受け、自ら精査し、必要に応じて修正する場合は違法にならないとした。
AI契約レビューを巡っては、2022年9月に、サービスを提供するLegalOn Technologies(旧LegalForce)、リセ、GVA TECH、MNTSQの4社が中心となり「AI・契約レビューテクノロジー協会」を設立。現状の各社サービスが適法であることを社会に発信する活動を行っていた(関連記事)。
今回のガイドライン公表を受け、AI・契約レビューテクノロジー協会の松尾剛行代表理事は「法務省ガイドラインは、さまざまな契約業務支援サービスの適法性が確認されたという重要な意味を持ちます」という。
一方「適法性というのは、あくまでもビジネスの前提に過ぎません。引き続き、有意義なプロダクトを提供するという観点からさらに努力を続けるべきであり、協会としてもステークホルダーとのコミュニケーションを継続していきます」と話す。協会加盟各社がガイドラインの趣旨に沿ってサービスを提供できるように、より実務的な枠組みも議論していく。
また、弁護士ドットコム(東京都港区)は、ガイドライン公表を機に「弁護士業界におけるビジネスチャンスが一気に拡大した」(同社)として、ガイドラインの趣旨に鑑み6領域21ビジネスの事業開発を開始すると発表した。
世界的にも関心が集まるリーガルテック。今回の指針により、国内でも開発競争がますます加速しそうだ。
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