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AIの契約レビューって違法なの? AI・契約レビューテクノロジー協会設立、適法性を発信(1/2 ページ)

» 2022年10月03日 16時35分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 AIを使った契約レビューサービスを提供する主要4社が共同で、「AI・契約レビューテクノロジー協会」を9月に設立した。AIによる契約レビューが弁護士法72条に違反するのではないかという懸念に対し、現状の各社サービスが適法であることを社会に発信していく。

 参加するのは、国内でAI契約レビューや契約ライフサイクルマネジメントサービスを提供する、LegalForce、リセ、GVA TECH、MNTSQの4社だ。

「AI・契約レビューテクノロジー協会」、略称はACORTA(アコルタ)

弁護士法72条の理解のために

 協会設立の契機となったのは、6月6日に公表された「グレーゾーン解消制度」に対する法務省の回答だ。グレーゾーン解消制度とは、法的に不安のあるビジネスを行うとき事前に適法性を確認できる制度。ここで、AIを使った契約レビューについて「弁護士法第72条に違反すると評価される可能性がある」という回答が公表されたのだ。

 グレーゾーン解消制度を使って問い合わせをしたのは協会参加の4社ではなく、事業者名は公表されていない。また「適法である」という回答以外は公表を控える場合がほとんどだが、今回は依頼事業者の意向で公表された。

 「6月6日のグレーゾーン解消制度の法務省回答に端を発し、AIによる契約レビューが社会的な注目を浴びた。社会から正しい理解を得た上で、普及発展を得ることが重要だと痛感した」と、代表理事を務める松尾剛行弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー弁護士)は言う。

代表理事の松尾剛行弁護士(中央)、専務理事の角田望弁護士(LegalForce社長、左)、理事の山本俊弁護士(GVA TECH社長。右)

 弁護士法72条は、弁護士以外の法律業務を禁じた法律だ。ただし、詳細に読むと現状のAI契約レビューは72条がいう鑑定に当たらないと松尾氏は言う。「現在のAI契約レビューはチェックリストとの突合(とつごう)であり、単純に日本語にその文言があるかを検索して表示することは、弁護士のレビューとは異なる。法的な意味、効果について分析することを鑑定という」

 また専務理事の角田望氏(LegalForce社長)は過去の別件の例を挙げ、「日常的な商取引の契約書のチェックについては事件性がない限り、72条に違反しないという法務省見解が出ている」と話した。

弁護士法72条の構成要件と、対するAI・契約レビューテクノロジー協会の考え方
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