沖縄県は13年(平成25年)の文書を踏まえ、14年(平成26年)度から計画の深度化に取り組んでいる。3年半の検討結果は18年(平成30年)に発表されており、これを元にして計画検討委員会、技術検討委員会、プロセス運営委員会、プロセス検討委員会、費用便益検証委員会の5部門がさらなる深度化を図っている。
沖縄県の計画図によると、起点は那覇空港で、那覇県庁前、浦添、普天間、瑞慶覧(ずけらん)、沖縄、うるま具志川、うるま石川、恩納前兼久(おんなまえがねく)、恩納谷茶(おんなたんちゃ)、恩納を経由して名護に至る。このうち那覇空港〜普天間間は、国道58号沿いルートと国道330号沿いルートを検討している。
車両は「鉄輪式リニアモーター方式」だ。小型車輪を用いた低床鉄道車両をリニアモーターで駆動する。近いイメージは都営地下鉄大江戸線だ。ただし停車時間や徐行を含めた表定速度が時速70キロメートル、最高速度が時速100キロメートルの高速運転とする。このタイプは米国や中国で実績がある。そして将来はドライバーレス運転で運行コストを低減する。
所要時間は那覇空港〜名護が58分、県庁前〜名護が53分など。那覇、普天間、沖縄、名護からフィーダーバスが接続する。これに高速バス、BRT/LRTなどを組み合わせた交通体系を組み上げる。ドアツードアのマイカーよりも、乗換2回以内の公共交通でスピードアップという提案だ。
費用便益比の算出について、鉄軌道需要は約3万2000〜4万3000人/日、整備コストは約5600億円と見積もった。市街地のトンネルは従来のシールド工法のほか、コスト縮減可能な「SENS工法」も比較した。シールド工法はトンネルの壁部分を形成する「セグメント」を工場で生産して運び込む仕組み、SENS工法はコンクリートなどの材料を運び込み、壁にコンクリートを吹き付けていく。分析結果はSENS工法の採用と観光客増加を見込んで、なんとか費用便益比1.0を超えた。
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