なぜスーパーのレジで“PayPay渋滞”が起きるのか 大手流通の存在がチラリスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2023年08月15日 10時49分 公開
[窪田順生ITmedia]

 お盆休みということで家族や親戚が集まっているからか、スーパーが時間帯によってはかなり混み合っている。

 筆者の家の近くの「マルエツ」でも、レジには長蛇の列ができていた。その中でもひときわ長い列になって並んでいる人たちがイライラしているレジがあった。その先頭を見て「ああ、なるほどね」と納得した。

 「PayPay渋滞」である。

 マルエツをよく利用している人ならばご存じだろうが、このスーパーの有人レジでPayPayを使うと、店員さんはかなり面倒な作業を強いられてしまうので、長蛇の列ができることが多々あるのだ。

スーパーで「PayPay渋滞」が起きている(出典:AC)

 どれくらい面倒な作業かというと、まず普通にレジで商品のバーコードを読み込んだ後、レジの下からQRコードを読み取る端末を取り出さなくてはいけない。次に、この端末はレジと連動していないのか、わざわざレジからレシートを打ち出して、その金額を店員さんが手動で打ち込まなくてはいけないのだ。

 手打ちなので指さし確認で間違いがないかチェックをする。そして、ようやく客が出しているPayPayのQRコードをカメラで読み込むのだが、時々ピントが合わなかったり、天井の照明に反射してしまったりして、もたつくことがある。どうにか読み取れたとしても、まだやることがある。端末からレシートが出てくるので、それをペリッと手で切り取って、レジから出ているレシートと合わせて、ステイプラーで止めて手渡すのだ。

 ……という流れを書いているのも面倒くさくなるほど、店員さんは大変な手間がかかるのだ。スーパーのライフなどでは、レジでPayPayを差し出せば店員さんは「ピッ」とバーコードを読み込んで、レシートを渡して終了だ。それと比べると、マルエツの店員さんのアクションは5つほど多い。そのため、PayPay利用者が現れると、そのレジは途端に人の流れが悪くなって「渋滞」になりがちなのだ。

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