これからの日本は新しいテクノロジーをどんどん導入して、人手不足解消を目指すとともに、生産性も上げていくべきだ――という話が叫ばれようになって久しい。
大変喜ばしいムードではあるのだが、一方でムードに流されやすい国民性からか、現実とかけ離れた理想だけを掲げて空回りしてしまっているケースも多い。つまり、とにもかくにも新しい技術を導入すれば全て解決だと言わんばかりに、現場にそぐわないようなシステムを採用した結果、現場が混乱に陥って、サービスの利用者やそこで働く人たちをゲンナリさせてしまうのだ。
その分かりやすい例が、「セルフレジ」だ。
Yahoo!ニュースとITmedia ビジネスオンラインが共同で企画したオンライン調査では、なんと77.8%がセルフレジを「積極的に使っている」または「たまに使う」と回答している(関連記事)。「スキャンし間違えないか不安」「使い方がよく分からない」などの声もあったが、基本的には多くの消費者から受け入れられている。
専門家によれば、スマホでバーコードを読み取るスタイルや、商品を入れた買い物カゴを置くだけで会計できるような技術もあるので、セルフレジは今後さらに普及して、スーパーなど小売店の人手不足や生産性向上に貢献していくという。中には近い将来、「レジ打ち」という職業自体が消滅すると主張するような人もいる。
という話を聞くと、「どこが空回りだ! すっかり市民権を得ているじゃないか。貴様のようにとにかく新しいものを反対するような人間がいるから、日本はいつまでもたってもイノベーションが起きないのだ」と怒る人もいらっしゃるが、実際に「セルフレジ」の導入を進めている現場からは「市民権を得ている」とは言い難い実態が浮かび上がる。
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