もう1つの売れている理由として挙げられているのが「質感の高いデザイン」。新しい3代目モデルのデザインも、2代目の現行モデルとほとんど変わっていません。見比べれば、いかにホンダが今のデザインを重要視しているかが分かります。2代目モデルのデザインも初代モデルそっくりで、N-BOXは最初からほとんどデザインを変えずに売れ続けているのです。
N-BOXのデザインは、非常に特徴的です。丸いヘッドライトとバンパー下のグリルは、まるでくりくりとした目に笑った口のようにも見えます。それでいて全体的にはシンプルさがあり、まさに「質感の高いデザイン」といえるでしょう。例えるならば「無印良品」のような、シンプルかつ質の高い商品というイメージです。
個人的には、この「質感の高いデザイン」から来る良いイメージが、N-BOXの大ヒットを生み出した最大の理由ではないかと考えています。年配のおじさんである筆者が軽自動車を買おうとなれば「あまりかわいらしいものや、格好つけたギラギラしたものは勘弁してほしい」と思うもの。そこに質感の高いデザインの軽自動車があれば、当然それを選びます。「質感の高いデザイン」は、N-BOXのもともとのターゲットである子育て世代だけでなく、他のユーザー層にもN-BOXを届ける働きをしたのではないのでしょうか。
実際にホンダの販売1位を知らせるリリースの最後には「幅広い層のお客さまにご愛用いただいています」とあります。メインターゲットである子育て中世代以外にも広く受け入れられたからこそ、他の軽自動車を差し置いてベストセラーカーになりえたのです。
また、N-BOXが売れる理由には「一番売れている」という事実も大きく影響しているはずです。誰もが「これが今、一番に売れているよ」と言われれば、なんとなく「良いものだ」と感じてしまうもの。売れているクルマだからこそ、より売れやすい。これもN-BOXの強さの1つではないでしょうか。
こうした売れている理由を挙げてみれば、3代目モデルの売れ行きも楽観視できるように思えます。質感の高いデザインや、軽乗用車最大級の室内空間もそのまま。そして「一番に売れている」という勲章も維持しています。N-BOXの快進撃は、3代目以降もまだまだ続きそうな気配が濃厚です。
1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。
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