松のやは今後、どのような戦略を取っていくのだろうか。近年、単体での店舗数は180〜190と横ばいに推移しており、伸び悩んでいるように見える。しかし、松屋やマイカリー食堂を併設した店舗へのシフトを進めており、前述の通り他業態との複合店では300店舗を突破した。松屋フーズHD全体で23年3月期に275店舗の店舗改装を実施し、24年3月期も164店舗の改装を予定しているなど、今後も複合店は増えていきそうだ。
近年、松屋フーズHD以外でも「ガスト×から好し」や「ゆで太郎×もつ次郎」といった他業態を併設した飲食店の出店が目立つ。前者はガストのメニューと専門的な唐揚げを楽しめる店舗で、後者は一つの店舗でそば又はもつ定食を選べる店舗だ。消費者にとって併設店のメリットは何といっても選択肢の多さである。食そのものだけではなく、選ぶ時間も楽しみに変化する。
選ぶ楽しみを巡って、松屋フーズHDでは従来の券売機システムからの脱却も進む。券売機では混雑時にゆっくり選ぶことができないデメリットがあった。最近では、席から落ち着いて注文できるタブレットシステムの導入を進めているようだ。
松屋フーズHDが有する牛丼×かつ丼×カレーというアセットは、それぞれの相性が非常によい組み合わせとなっている。注文システムの刷新なども合わせて進められれば、単一業態ではなく複合店という形を確立でき、今後かつやを超える存在になれるかもしれない。
山口伸
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー X(Twitter):@shin_yamaguchi_
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