「かつや」追う「松のや」の特徴は? “破格”250円朝食も 似て非なるそれぞれの戦略強みを分析(2/4 ページ)

» 2023年08月22日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

男性客重視のかつや、全体重視の松のや

 どこか似た印象のある両者だが、ターゲットとする客層は異なる。それぞれの違いはメニューを見ると一目瞭然だ。

 まずはかつやのメニューを見てみよう。丼もの、定食、カレーなどのジャンルがあり種類は豊富だが、ヘルシーさを打ち出すなど、女性をターゲットにした商品はない。いずれも揚げ物と米が主体のシンプルな商品が多い。カツ丼やカツカレーでは、ボリュームごとに松・竹・梅の3種類を提供している。

かつやのカツ丼やカツカレーは、ボリュームに応じて松・竹・梅のメニューを用意している(出所:アークランドサービスHD公式Webサイト)
かつやのカツカレーの「松」(出所:同前)

 かつて女性向けメニューを訴求したこともあったが業績改善につながらず、男性客ターゲットにシフトしたようだ。

かつやの期間限定メニュー「ネキねぎラー油のロースかつ丼(梅)」(出所:同前)

 一方、松のやも同じく丼もの、定食、カレーを提供しているが、「ささみかつ定食」や「四季の野菜と本格唐揚げのスープカレー定食」など、さっぱりしたものや女性向けらしきメニューもそろえている。お子様メニューのラインアップもあり、ファミリー客もターゲットとしていることが分かる。その他、2種類以上の揚げものが乗った「盛合せ定食」というボリューミーなジャンルもあり、非常に幅広いターゲットを狙っているとみられる。

松のやの「ロースかつ丼」(出所:同社公式Webサイト)
松のやはさっぱりとしたメニューも用意している(出所:同前)

 250円の「玉子かけごはん定食」といった“破格”の朝メニューも松のやの特徴である(松屋併設店では販売していない)。まとめると、かつやが男性客に絞っているのに対し、松のやは幅広い層をターゲットにしていることが分かる。

松のや「お子様メニュー」のラインアップ。ファミリー層の取り込みにも抜かりない(出所:同前)

店内のシステムや店舗立地も異なる

 メニュー以外にもいくつかの違いが挙げられる。例えば、店内のシステムだ。かつやは従業員が注文を取り、できあがった料理は席まで運んでくれる方式を採用している。会計は食後にレジで済ます。対する松のやは、券売機を導入しており、決済は食前に行う。自分の番号が呼ばれたら商品を取りに行き、食後には食器を返却する必要がある。

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