新卒が「退職代行」を使ってやめたらどうする? 企業の対処方法と反省点(2/3 ページ)

» 2023年08月25日 08時00分 公開
[木村政美ITmedia]

社員が退職代行を利用する理由

 社員が退職代行を利用する理由は、おもに下記のケースが考えられます。

(1)会社が退職を認めないから

 上司や人事に退職の意思を伝えても取り合ってもらえない、考え直してほしいなどと説得され退職を保留にされる、後任者が決まるまで退職できない――など、会社側の諸事情により退職させてもらえないケースが当てはまります。

(2)上司や他のメンバーと接触したくないから

 例えば、日常的に上司からパワハラを受けている、上司に退職の意思表示をしたところ、罵声を浴びたなど、ハラスメントやいじめが原因で退職する場合は、社内の人間とは会わずに手続きをしたいと考えるでしょう。

(3)退職したいことを上司に言い出しにくいから

 特に新卒社員の場合、退職希望を上司にどう伝えたらいいのか分からないので、退職代行に依頼してしまうこともあるでしょう。

(4)引継ぎをせずにすぐに退職したいから

 社員が会社に退職の意思表示をしても、後任者に仕事を引き継ぐための期間が必要だとの理由で、すぐに退職できないことがほとんどです。引継ぎをせずすぐに退職したいとか、出勤せずに余った年次有給休暇を全部消化してから退職したいという場合、退職日を巡って直接会社ともめることを避け、自らの意思を通すために退職代行を利用することもあります。

 企業によっては、就業規則で退職の意思表示の告知期間について、例えば「退職の1カ月前まで」となどと明記されていることが多いです。しかし民法627条では「従業員は退職を伝えてから2週間が経過すれば、退職理由を問わず退職できる」とされています。

 この場合、就業規則の明記は「2週間で退職されると引継ぎができないから、退職するときはもっと早く知らせてほしい」という会社側の要望であるため、民法の定めが優先されます。そのため「引継ぎをしないことが会社に対する業務違反とならない」場合、または「引継ぎをしないことで会社に具体的な実害が生じない」場合、引継ぎの完了を待たずに退職できます。

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