「テレワークを廃止」したら退職者が急増 原則出社はもう無理なの?QAで解説(1/2 ページ)

» 2023年08月31日 07時34分 公開
[馬場順也ITmedia]
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 新型コロナウイルス感染症の5類移行を受け、各社で「出社回帰」の動きが目立つ。出社を望む企業が多い一方で、従業員からは「テレワークが良い! 出社をしたくない」という声が目立つ。「満員電車に揺られず済む」「無駄なコミュニケーションが減る」――など、テレワークのメリットを指摘する声も多い。

 一度テレワークを経験した従業員に、出社を強制するのは難しいことなのだろうか?

 社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所の馬場順也氏が、出社回帰に関する企業と従業員のニーズ、どうバランスを取っていくべきか解説する。

出社 (ゲッティイメージズ)

原則出社で退職者急増 どうする?

Q: 当社ではこれまで、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、従業員の安全を考えてテレワークを積極的に推奨してきました。しかし、社員間のコミュニケーションが取りづらく業務のスピードが下がったり、人事評価が難しくなったり、多くの課題に直面しました。

 そこで、感染法上の分類が5類に移行したこともあり、テレワークをやめ、原則出社に切り替えました。ところが、オフィス出社を拒否する従業員が散見され、ついに退職者まで出る始末です。コロナ前のように出社して働いてもらうことは、もう無理なのでしょうか?

勝手に出社拒否する社員 どう対応する?

 そもそも、雇用契約を結ぶことで、労働者は使用者の指揮命令に従って誠実に労働する義務が生まれます。労働力を提供する場所や時間は、雇用契約書で定められているため、オフィスに出社することが原則となっていれば、出社を命じることができ、それに従わない従業員は業務命令違反になり得ます。

 一方、コロナ禍でテレワークを前提とした採用を行い、雇用契約を結んでいた場合には、会社が方針転換をしたからといって、一方的にオフィス出社に切り替えることは出来ません。業務上の必要性を説明し、本人の同意を得たうえで出社に切り替えることが原則です。

 新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、従業員に出社を求める企業は増えています。しかし、厚生労働省が公表している資料によると、テレワーク実施者の大半は今後もテレワークの継続を希望しています。

 出社に切り替えると反発や不満の声が挙がりやすく、なかには無断でオフィスへの出社を拒否する従業員が出る可能性もあります。テレワークでも仕事を滞りなく進められ、かつ、ワークライフバランスも取りやすくなったことで、オフィス勤務に戻る必要性がないと勝手に判断する従業員もいるでしょう。また、テレワークを前提として地方に移住している場合もあります。

 これらのケースでは雇用契約を正確に理解せず、本人が勤務地を選べると勘違いしていることが多いため、まずは労働契約について説明することが大切です。もとの契約では出社して労働することが前提となっているため、出社を拒否すれば業務命令違反になることを理解してもらう必要があります。

 また、従業員側は仕事が滞りなく進められているという自負があるかもしれませんが、会社は業務上の必要性や会社全体の効率性から出社が必要かどうか判断するものであり、個人の判断基準に任せるものではありません。

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