新卒が「退職代行」を使ってやめたらどうする? 企業の対処方法と反省点(3/3 ページ)

» 2023年08月25日 08時00分 公開
[木村政美ITmedia]
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社員が退職代行を使用 企業の対処方法は……?

 さて、もしも社員が退職代行を利用して退職の意思表示をしてきたら、どう対応すればいいのでしょうか? 下記の手順で手続きを進めましょう。

(1)社員が退職代行サービスに依頼したことを確認する

 社員が正式に退職代行を依頼したことを確認するために、連絡があった退職代行業者に、委任状などの提示を求めます。本人の意思確認が出来ない場合は、回答書で退職の手続きが出来ない旨を伝えた上で、会社が指定した書類の提示を請求します。

(2)会社側の意向を伝える

 退職代行業者が伝えてきた内容に対して書面、もしくはメールで回答書を作成し、退職代行業者に送付します。その際に本人と連絡が取りたい旨を回答書に記入することはできます。しかし、従業員は会社側と直接話をすることを避けるために退職代行を利用している場合が多いので、直接話ができる可能性は低いとみておいた方がいいでしょう。

 退職日を決めるときに「業務の引き継ぎをしてほしい」「新任者が来るまで辞めないでほしい」など、会社からの要望がある場合には、退職代行業者を通じて本人と交渉します。ここで注意したいのは、誰が従業員の退職代行を請け負っているかです。弁護士の場合は本人の代理人として退職日や有休消化などの交渉をすることができますが、一般の退職代行業者の場合は、使者として本人の意思を伝えるのみで交渉することはできません。

(3)退職届の提出と備品などの返品を依頼する

 退職日が決まったら、退職代行業者を通じて退職届の提出と社員証や業務関連のデータや資料、備品などの返却を依頼します。返却するものが多い場合はリストを作成するとよいでしょう。

 また、秘密保持や競業避止義務の目的で作成する誓約書など、本人に提出を求める書類があれば郵送、もしくはメールでフォーマットを送付し、署名の上返送してもらうようにします。

(4)退職の手続きを行う

 本人の退職後、雇用保険及び社会保険の資格喪失、離職票の交付などの手続きをします。手続き方法は一般の退職者と同じです。

もし退職代行を利用されたら、会社は何を反省すべき?

 新卒社員に限らず、社員が退職代行を利用して退職する理由は「会社に話しても退職できない」「会社と直接話をせずに退職したい」からです。端的に言うと上司とのコミュニケーションがうまく取れていないことにあります。

 例えば、管理職が以下のような態度で部下に接していると、退職代行を利用する社員がますます増えるかもしれません。

  • 部下の言うことに理解を示さず、一方的に自分の考えばかりを押し付ける
  • 業務過多で部下の話をまともに聞く時間がない
  • 部下に対して高圧的な態度を取ったり、日常的にパワハラを行っている

 新卒社員が会社を退職する理由はさまざまですが「上司や先輩とコミュニケーションが取れない」ことは大きな原因の1つです。特に、新卒社員は仕事に慣れていないため、上司は業務の進捗状況を把握した上での細やかな助言や指導が求められますし、仕事に対するモチベーションを保つための方策も必要になるでしょう。

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木村政美

1963年生まれ。旅行会社、話し方セミナー運営会社、大手生命保険会社の営業職を経て2004年社会保険労務士・行政書士・FP事務所を開業。労務管理に関する企業相談、セミナー講師、執筆を多数行う。2011年より千葉産業保健総合支援センターメンタルヘルス対策促進員、2020年より厚生労働省働き方改革推進支援センター派遣専門家受嘱。

現代ビジネスダイヤモンド・オンラインオトナンサーなどで執筆中。


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