「高額プラン」の会員が約6割 コストコの「圧倒的成長」を支えるファン戦略と5つの強みここがスゴイよ(2/4 ページ)

» 2023年08月31日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

 次に、コストコの品ぞろえの特徴に目を向けてみます。コストコのSKU(Stock Keeping Unit:商品品目数)は約4000です。これは一般的なコンビニエンスストアと近い数字であり、大型の総合スーパーとしては非常に少ないといえます。総合スーパーでは数十万SKUというケースもある中、コストコはかなり絞り込んだ商品を大量仕入れしているようです。1品当たりのコストを下げることで、顧客へ安く販売することへつなげています。会員制によって緻密(ちみつ)な顧客のデータ管理・分析を実現し、少ないSKUで売れる品ぞろえを実現しているのです。

 まとめると、大量ロットかつ低価格販売による会員の利用増大、少ないSKUで在庫・物流の効率化を図ることが、それぞれ密接に関連しながら独自のビジネスモデルを作り上げています。これがコストコの大きな特徴です。

ガソリンに再販店 抜かりない数々の戦略

 会員制・大量ロットによる低価格販売という価値だけではなく、たくさんのヒット商品を生み出しているのもポイントです。

 例えば、テーマパークでしか味わう機会のない「あの味」を家で楽しめることで好評なチュロス25本パック(1898円:1本約76円)や、店舗限定商品のアサイーボウル。さらには20本以上が入っているBBQチキンウィング、汁なしサバラーメンや台湾風まぜそばといったアジアンテイストまでラインアップするなど、お店では発見と驚きが尽きません。

 最近では、店舗に隣接するガソリンスタンドでレギュラーガソリンを155円(1リットル)で会員向けに提供するサービスも始まっています。コストコを訪れるほとんどの顧客は、車で来店するはずです。「商品だけでなく、ガソリン代も安く給油してお帰りください」というメッセージが伝わってくるような企画といえ、ガソリン価格が180円を超えてニュースになっている中で、会員にとって非常に価値のあるサービスだといえるでしょう。

 「コストコ再販店」も展開することで、店舗が近くにない人でもコストコの商品を楽しめる機会が増大しています。コストコ再販店では小分け販売をしており、1人暮らしや高齢の方にも対応したロット提供を実現しています。

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