不買運動は水産物の輸入停止のみならず、他業界へも波及している。一例が化粧品業界だ。中国国内で「放射線の影響を受けている日本の化粧品リスト」というフェイク情報が拡散し、実際にECサイトでの化粧品の取引額が、例年に比べ大きく減少したと、NHKニュースは報じている。
シンガポール華字紙「聯合早報」では、過激な発言で知られる中国人民政治協商会議のメンバー、周公平氏は福島を「輻島」(※「輻」には放射線のニュアンスが含まれる)と呼び、「日本旅行を一時停止」するよう自身のSNSアカウントで提言したと報じている。
記事内の投票では約73万人のネットユーザーがこの提案に同意しており、観光側面でも不買運動が起きる可能性が現実味を帯びてきた。
では、実際に旅行における不買運動は起こっているのだろうか。8月29日に国土交通大臣の斉藤鉄夫氏が言及した旅行会社への聞き取り調査によると、実際に「ツアーのキャンセルの申し出があった」との回答が上がっているという。
一方で問い合わせはあったものの、問い合わせの中身が飲食の安全性やツアーの延期・中止の可能性などに関するものだったケースや、そもそも問い合わせ自体が少ないという回答も上がっているため、国交省は引き続き動向を注視するとしている。
少なくとも、テレビやネットで過激に騒ぎ立てられているほど、中国国民全員が訪日旅行に反対しているわけではないだろう。一方で、中国当局の主導で渡航禁止措置、あるいは渡航に厳しい制限を課す可能性もある。
渡航禁止のような厳しい措置がとられるのかについて、現時点では確かなことは分からないが、中国政府は当面慎重に動くのではないかとみている。
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