22年12月に「ゼロコロナ政策」に反発する国内デモがあった中で、中国国内には相当の鬱憤(うっぷん)がたまっている。中国政府は国民の不満の矛先が当局に向かないよう、慎重にならざるを得ないのだ。
もう一つ考慮すべき要素として、中国の不動産大手「恒大集団」の破産に伴う、中国不動産バブルの崩壊リスクもある。
恒大集団はかつて、中国国内で2番目に大きい不動産開発業者として知られていたが、資金繰りに行き詰まり、今回破産法の適用を申請するに至った。これにより、中国国内の不動産会社や関連企業の間で緊張感が高まっている。将来への不安から消費より貯蓄を優先する傾向が強まっていくとの見方もあり、旅行を控える動きが広まる可能性も否定できない。
では、中国以外のインバウンドへの影響はどうだろうか。
処理水の海洋放出については、例えば隣国である韓国政府は「科学的に問題はない」と一定の理解を示している。IAEAも承認していることから、日本の周辺地域以外、例えば欧米豪などから批判を受けることも少なそうだ。
ここからの訪日客の増加は、飛行機や船といった「入口」がどれだけ増えるかに左右される。国内外の各航空会社から9月以降の増便・復便、新規就航予定が発表されている。加えて成田、関空、福岡など空港のリノベーション工事も予定されており、滑走路の整備や利便性向上に伴い、外国人観光客の受け皿が整うことが期待される。
最大市場であった中国に頼らずとも、コロナ前の8割近くにまで回復したインバウンド市場。今後も韓国や台湾などの重要市場を中心として、日本の経済復興への貢献に期待がかかる。
【開催期間】2023年8月22日(火)〜9月10日(日)
【視聴】無料
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