「あれ、なに?」と思わず声が出る“乗り物”の正体 沖縄の街でゆるりゆるり経済の「雑学」(3/3 ページ)

» 2023年09月10日 09時10分 公開
[土肥義則ITmedia]
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マネタイズの問題

 美浜エリアでこのサービスを始めたきっかけは、交通事情が大きく影響している。那覇空港を降りても、観光客が多いこともあってレンタカーを借りるのが難しくなっている。また予約をしていても受付に時間がかかることも。

 こうした事情を受けて、空港から北谷行きのシャトルバスを用意したものの、観光客は現地での移動手段に困ってしまう。そこで白羽の矢が立ったのが、ヤマハ発動機のゴルフカートだったというわけだ。

リゾート地での走行は続くのか

 北谷町でゴルフカートをベースにした乗り物が走り始めたのは、2017年のこと。SC-1が動き始めたのは、22年のこと。そこそこ時間がたっているわけだが、いまだに大きな宿題を残したままである。それはマネタイズ。

 利用客は増えているものの、料金だけできちんとした利益を確保することは難しいようで。例えば、SC-1の場合、美浜エリアの決められたルートを30分ほど走って、料金は大人1500円、子ども500円。シャトルカートの場合、大人500円、子ども250円である。

 事業をうまく軌道に乗せるには、料金を上げることもひとつの手かもしれないが、移動距離や時間などを考えると、大幅な値上げは難しい。となると、違った手を打たなければいけない。

 この事業のキモは、観光客を送客していること。商業施設やホテルなどにとってはメリットがあるので、事業担当者は「そうした会社となにか一緒にできることはないか」と模索している。また「カートに広告を掲載できるので、そうした収益も増やすことができないか」といったことも視野に入れているようだ。

 もし、SC-1のフロントガラスで未来が見えるとしたら、どんな姿が映し出されるのか。たくさんの観光客がやって来て、ゆっくりゆっくり走る乗り物がにぎわっている――。こうした映像であれば、近い将来、大きな宿題を解決しているに違いない。

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