リテール大革命

「タテ型動画」通販アプリ、なぜ人気? 背景に日本の小売りの“弱点”まるで「TikTok×Amazon」(2/2 ページ)

» 2023年09月12日 08時00分 公開
[水口幹之ITmedia]
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日本の流通・小売り業界の“弱点”

 通常、商品がメーカーから消費者に届くまでには、商社や小売店を経由する必要がある。商品を店頭に並べてもらうためには、バイヤーから選ばれなければならない。ところが、多くのバイヤーは売れるかどうかを「過去の売り上げ実績」で計ろうとする。実績に乏しい中小のメーカーの商品は店頭に並ぶ機会すら与えられない。

 陳氏は「日本の中小メーカーは素晴らしい技術を持っている」と評価しつつ、「流通のデジタル化・効率化は世界に遅れている」と指摘する。7sGoodでは中間業者を最小限にし、メーカーと消費者をダイレクトにつなぐ。メーカーの負担となる在庫数も必要最小限で済むよう、商品が売れる数をAIで計算し、最低限の数だけ製造を依頼しているという。

 商品の動画作成、テスト、アップロード、動画公開後の効果検証、コンサルティングは全て無料で提供している(※23年9月時点)。

 陳氏は7sGoodの立ち上げ前に、ペット向けスマートロボットやBluetoothイヤフォンなどのプロダクト開発やクラウドファンディングに着手してきた。複数のプロジェクトで1500万〜2000万円を調達するなど、「ものづくりと魅力的な見せ方」のノウハウを蓄積してきた。こうしたノウハウを中小メーカーに提供しようというのが、7sGood立ち上げの目的の一つだ。

HHOが展開するブランド「HHO Gene」のBluetoothイヤホン。デジタル制御による多彩な色やデザインが特徴。クラウドファンディングでは1700万円超を調達した。

 今後の展望をどのように描くのか。陳氏は「まずは全世界のユーザーにこの新しい仕組みを届けたい」とし、最終的には10億DAU(デイリーアクティブユーザー)を目指すと意気込む。

 「日本のものづくりの技術や品質は世界に誇れるほど素晴らしい。一方で、流通システムの遅れは致命的だ。7sGoodを通じて日本のものづくりでDXを促進し、世界への進出を後押ししたい」(陳氏)

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