値上げラッシュなのに、なぜ「100円おでん」を維持できるの? 「100円おせち」との共通点経済の「雑学」(1/3 ページ)

» 2023年09月17日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 ローソンストア100(神奈川県川崎市)が「100円おでん」の販売を始めて5年が経過した。同社は税別100円の商品を中心に扱ってきたが、原材料価格高騰などの影響で、全アイテム数に占める割合は約3割程度にまで低下している。そんな状況で、どのようにして「100円」という価格を維持しているのだろうか。同社の商品担当者に聞いた。

100円おでんの販売を開始して5年が経過(出所:プレスリリース)

冬に175万個売れる「100円おでん」

 100円おでんのコンセプトは「手軽さ」と「おいしさ」だ。例えば、煮込む時間が短くて済むように大根やこんにゃくといった味染みに時間のかかる食材には下味をつけている。1パック108円(税込)で、9月13日に7種類、20日に追加で7種類の計14種類を発売する。

下味をつけている「味付だいこん 2個」(出所:ローソンストア100公式Webサイト、以下同)
棒状のこんにゃくを串にさした「串おでんこんにゃく 6本」

 100円というインパクトの大きさもあり、特にファミリー層(家族で食事を用意する人)に支持されている。また、使い切りしやすいサイズなので、1〜2人で暮らす少人数世帯もよく購入しているという。2022年9月半ば〜23年2月末、100円おでんは約175万個売れた。背景には、コスパだけでなく「タイパ」(タイムパフォーマンス)重視のニーズもあると同社は分析している。

 今年の商品ラインアップは「いか天5本入」「焼ちくわ2本入」「ごぼう巻4本入」「野菜天4枚入」「紅生姜天4枚入」「揚ボール8個入」「とり焼売串2本入」「串おでんこんにゃく6本入」「がんも3個入」「ねじりこんにゃく」「味付だいこん2個入」などとなっている。おでんのシメに麺類を煮込む食べ方が広まっていることから、おでんの汁が麺全体に絡まりやすい「煮ぼうとう」も用意した。

「とり焼売串2本入」荷崩れしにくいシュウマイを串にさした
「煮ぼうとう 300g」おでんの汁に入れてシメにする

 「ローソンストア100では、10年以上前から他のスーパーで150円以上するような練り物商品を100円で販売しており、目玉商品の1つでした」(担当者)

 練り物商品は年間を通して販売してきたが、秋冬のおでんの時期に「100円おでん」という統一パッケージにして、売り場をコーナー化したらより訴求力が高まるのではないかと考えたのがこのシリーズの始まりだという。

 コンビニではレジ横でテークアウト可能なおでんを販売している。ローソンストア100はコンビニとは違い、野菜や日配食品などが売れるスーパーに近い業態なので、おでん種として販売する戦略にしたという。

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