10月から新しい最低賃金額が適用されます。 前年度比の上げ幅は41円と過去最大で、全国平均で伸び率は4.3%、全国平均で時給1002円となります。
最低賃金のアップにより、ここ30年間伸び悩んでいる世帯収入は増えるのでしょうか? 筆者は社会保険労務士として、さまざまな企業の賃金事情に関わってきました。今回の最低賃金と働き方を踏まえると、最低賃金がアップは必ずしも世帯収入増にはつながらないように感じます。その理由と、想定できる展開について解説していきます。
最低賃金と世帯年収の関連について解説する前に、そもそも最低賃金とは何かを振り返りたいと思います。最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が定めた賃金の下限です。
最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象とする「特定最低賃金」の2種類があります。特定(産業別)最低賃金は地域別最低賃金よりも高い金額水準で定められています。使用者は、定められた額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。正社員やアルバイトといった属性、職種や年齢、国籍に関わりなく全ての労働者に適用されます。学生アルバイトやインターン(労働者として認められた場合)でも例外ではありません。最低賃金の対象となるのは、次のものを除いた毎月支払われる賃金です(厚生労働省のQ&Aより抜粋)。
例えば月給制の社員として働いている場合は、皆勤手当、深夜手当、通勤交通費などを除いた基本給を所定の労働時間数で割った時給で判断します。「私は社員だから最低賃金は余裕で超えている」と考えている人もいるかと思われます。しかし社労士として企業の賃金台帳を見たところ、各種の手当を合算しないと最低賃金を下回っているケースもありました(適法でないことを指摘して訂正してもらいましたが)。
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