従来の日本のテレビドラマは、とにかく初回の視聴率が最も重要で、一般的には初回の視聴率から中盤にかけて下がる傾向にあるのが普通でした。
しかし、現在では視聴者に人気が出たドラマは、初回から徐々に視聴率を右肩上がりに上げるという傾向が確立されるようになっています。
ここで重要になるのが、SNSなどのネット上の視聴者の口コミです。
今回の『VIVANT』も毎週のように放映時間に番組関連のキーワードが、SNSのトレンド入りしていましたが、こうしたSNS上での話題化がドラマを知らない人にドラマの存在を知らせ、興味を持つきっかけになるサイクルがまわっているわけです。
こうした傾向は、2013年に放映されたNHKの『あまちゃん』のあたりから見え始め、16年のTBSの『逃げるは恥だが役に立つ』のあたりで明確になっていきます。
そして、テレビドラマ視聴中にSNS投稿をする文化を明確に確立したのが、『VIVANT』と同じ、TBSの日曜劇場で放映されていた『半沢直樹』です。
(参考記事:半沢直樹の5週連続トレンド世界一に学ぶ、テレビとツイッターの理想の形)
『VIVANT』でも、めまぐるしく転換するストーリーに大きくSNSが刺激され、毎週のように大きな話題となっていましたが、ある意味TBSのドラマ制作チームからすると、今回も狙い通りの結果だったといえるでしょう。
さらに今回の『VIVANT』では、ドラマの公式アカウント自らが、ネタバレや思わせぶりな投稿など、口コミや「考察」を誘発するような投稿を連発。視聴者のSNS投稿だけでなく、視聴者やメディアによる「考察記事」を多数生み出すことに成功するのです。
(参考記事:「VIVANT」ブームの要因 公式SNSが“ネタバレ”で伏線ヒント 事前情報なしで考察過熱「考察隊の皆様に感謝!」)
この結果、多くの個人やメディアがこぞって『VIVANT』の考察を話題にし、議論するようになり、『VIVANT』は日曜夜の番組放映時間だけでなく、一週間を通じてネット上で話題になり続けることに成功します。
筆者が務めるnoteにおいても、VIVANTを含んだ記事は現時点で4000記事を超えて書かれており、個人の方の記事の一部も多くの人に読まれていたようです。
ある意味、「VIVANT」放映期間中の3ヶ月の間、「VIVANT」考察祭りが展開されていたと言っても良いかもしれません。そして、この3ヶ月にわたる「祭り」期間を作ることが、地上波のテレビドラマならではの現象といえます。
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