400人あまりいる社員が利用できるだけの座席は確保できないことから、当日1時間以上残業した者のみと制限を設けている。しかし、残業制限を付けることで削減の潮流と逆行し「夕食にありつくために残業しよう」という発想にさせてしまわないのだろうか。
これについて木戸氏は「『残業すればご飯が食べられる』と(残業にインセンティブがあると)いうことになってしまっては本末転倒」と指摘する。
同社の月平均残業時間は10時間以下(2022年1〜12月)。残業削減のためにトップダウンで取り組んでいるが、企業向けにITシステムを提供しているという同社の業態上、顧客への影響が少ない夜間にシステムの更新業務をするなど、残業は発生する。夕食ビュッフェの取り組みには、こうした業務にあたる社員への福利厚生の側面もある。事前のトライアルでは2時間の残業制限を設けていたが、基準が厳しいという声を受け、1時間に落ち着いた。
8月某日の午後7時過ぎ。同社を訪れてみると、ラウンジスペースにはテーブルを囲んで和気あいあいとする社員たちが20人ほど。
「他部門の人を気軽に誘えるのがいい」「業務外の会話が生まれ、コミュニケーションがスムーズになった」との声が聞かれた。見渡すと参加者は若手だけに限らず、ミドル層も少なくない。この日は不在だったが、社長や役員が食べにくる日もあったという。
会社に行けば温かいご飯を食べながら、人と話ができる。出社に前向きになれるような取り組みは、同社のエンゲージメントの向上や離職率の低下につながるか。
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