社長が多く住む街はどこなのか。東京商工リサーチの調査によると、1位は2年連続で東京都港区赤坂だった。2位以下も港区の街が多くランクインしており、同区住民の6.6人に1人が社長という“社長だらけ”の区であることが分かった。
4099人の社長が住む赤坂は、都市型の商業施設や繁華街がある一方、高級マンションが建ち並ぶ閑静な住宅地も多い。米国大使館をはじめ各国の大使館も点在し、大使館員や外資系企業の駐在員も多く住んでいる。
2位は新宿区西新宿(3395人)だった。世界一の乗降客数を誇るJR新宿駅の西側に位置し、都庁など高層ビル群、百貨店や家電量販店などの大型商業施設でにぎわっている。特に近年はタワーマンションの建設が進み、富裕層から人気を集めている。
3位は港区六本木(3241人)で、4位以下は港区南青山(3076人)、渋谷区代々木(3029人)となった。また、6位の港区芝浦(2871人)は前回8位からランクアップ。かつては工場や倉庫が並び、バブル期はディスコに若者が集まったが、再開発で東京湾の夜景を望むタワーマンションやオフィスビルの供給が進んだ。
臨海都心エリアでは、9位に前回11位の江東区豊洲(2734人)が入った。東京駅や銀座に近く、タワーマンションが林立する他、公園や病院、学校、商業施設も充実している。2018年に築地から移転した豊洲市場や、交通網の拡充などもランクアップの背景にあるようだ。
市区郡別の1位は、世田谷区の5万4262人だった。21年の調査以来、唯一5万人を超えている。世田谷区は23区で人口、世帯数ともに最多で91万人超が暮らしている住宅地として知られ、高級住宅街の「成城」「奥沢」「深沢」の3エリアが町村別の22〜24位に入った。
2位は港区(3万9516人)で、人口に対する社長比率は15.1%と高い。高級マンションの供給が続き、町村別でもトップ10に6エリアがランクインしている。3位は渋谷区(2万9090人)で、前回5位から浮上した。若者の流行の発信地として国内外の観光客を集めるが、落ち着いた住宅地も併せ持つ。
都道府県庁の所在地別では、企業数と社長数が圧倒的に多い東京23区が5.2%でトップ。なかでも「港区」(15.1%)、「渋谷区」(12.6%)、「千代田区」(12.2%)が10%を超え、この3区は人口の8人に1人以上が社長であることが分かった。一方、社長比率が最も低い県庁所在地は山口県山口市で1.5%、46位は三重県津市の1.74%、45位は新潟県新潟市で1.75%だった。山口県には下関市、三重県には四日市市など有力な地銀や大手企業が本社を置く都市が県庁所在地とは別にあり、社長が住む街も分散されたため社長比率が抑えられたようだ。
東京商工リサーチは「閑静な高級住宅地が根強い人気を集める一方、職場や取引先が集まる利便性の高い都心部での『職住近接』も一段と強まっている。住環境を優先する派と『職住近接』を選択する派に二分されながらも、若い社長を中心に都心部への集中が進むとみられる」とコメントした。
調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から、社長(個人企業を含む)の居住地を抽出し、ランキング化した。同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高が大きい企業を採用。人口比社長率の算出に使用した人口は、総務省公表「令和5年住民基本台帳人口(23年1月1日現在)」に基づく。
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