インフレの波が日本にも押し寄せる中、外食産業は激しい価格競争と内部コストの上昇という問題に直面している。そんな中、日高屋を運営するハイデイ日高は過去最高売上を達成するなど絶好調だ。
日高屋といえば、値上げが相次ぐ外食業界の中では、価格転嫁に消極的な部類の企業だ。値上げ幅を比較的抑えている他、看板メニューである390円の「中華そば」は価格を据え置いている。それでも好調なのはなぜなのか、決算から読み解いていく。
東京商工リサーチの調査によれば、2023年に入ってから飲食業の倒産件数が急増している。23年1〜8月の飲食業における倒産件数は、前年同期比82.3%増の569件に達した。驚くべきことに、この数字は22年の年間倒産件数である522件を上回るペースだ。同調査の倒産件数は、負債1000万円以上の場合のみ算上されている。小規模な飲食店事業者を含めると、23年には見た目よりもさらに多くの倒産が発生していると推察される。
コロナ関連支援の副作用ともいうべきか、過剰債務を抱えた事業者を中心に厳しい状況が続いていた。アフターコロナでは外食やインバウンドで一気に人手不足に転じている。それに伴う人件費の高騰や物価高・電気代上昇といった経営コストの高まりは落ち着いていない。飲食業界における倒産動向は、むしろここから勢いを増していくとみられている。
ハイデイ日高が10月6日に発表した24年2月期第2四半期決算によれば、同社の売上高は237億9600万円と前年同期比で35.2%増加しており、営業利益も24億200万円と前年同期の1億9500万円の赤字から、見事に黒字へ転換した。
日高屋は今年の3月1日に10〜50円の値上げを実施したものの、同社の看板商品である中華そばは390円に据え置き、また期間限定の値下げキャンペーンを同時並行で実施していた。そんな日高屋の24年2月期9月度の月次売上高速報によれば、9月における全店の売上高は前年同期比で27.9%増だ。客数、客単価も同22.3%、4.2%増と大幅な成長を続け、通期でも史上最高売上を達成する見込みとなっている。
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