ですが、時代は大きく変わりました。国民にとって重要な情報源であったテレビからネットがその主役の座を奪い取り、今や情報の受け手であった国民は送り手にもなりうる双方向コミュニケーションツールとしてのメディアが主流をいく時代に入っているのです。今こそ、NHKの組織運営形態について抜本的な議論が必要ではないかと思うのです。
時代の変化を受けて、海外でも公共放送の在り方についての議論は活発化しています。フランスではマクロン大統領の選挙公約でもあった公共放送の受信料廃止方針が示され、国の税金で賄う方法に移行される見通しとなりました。
英国BBCもその在り方を全面的に見直す白書が今春提出されたのを機に、受信料の徴収を2年間凍結して組織運営の抜本的見直しに入ったと伝えられています。公共メディアのポジショニングは、国の歴史的背景や国民性によって異なるので、必ずしも諸外国の動きに即「右にならえ」とは言えないものの、ネットメディアの台頭によって公共放送見直しの必要性が高まっていることは確かです。
自社の利益擁護を優先して、本来すべき主張をせずにやり過ごしていくのは、日本のマスメディアの悪しき特性です。今話題のジャニー喜多川氏の性加害問題でも、自社の利益擁護優先で言うべきことを言わなかったマスメディアは、責めを負うべき存在として糾弾を受けています。
相手の弱みに付け込んで時代錯誤な形で事業領域を広げようと画策するNHKと、自社利益を守るために核心を外した主張を続ける民間大手メディア各社。両者の茶番の陰で損をするのは国民です。NHKも民間大手メディアも国民の利益を省みない主張を続けるならば、両者を待ち受けるものは衰退の一途ではないのかと思うのです。
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