男性育休に対し、50代の管理職の社員全員が理解を示せているかというと、「頭では分かっていてもなかなか腹落ちはしていない人もいる」のが事実だと話す。
「そこは生きてきた時代の違いがあると理解しつつも、管理職がネガティブなイメージを持っていると、部下である男性社員が長期で育休を取りたいとは言いづらくなってしまいます」(宮岸さん)
そこで対策として、人事部では対象者に育休案内の個別メールを送る際、管理職も宛先に入れている。メールには育児休業制度の取得率100%を目指していることや、育児休業計画書の提出依頼、管理職社員には男性社員への育休に関する声掛け・マネジメント要請を記載し、管理職を巻き込みながら育児休業の取得を促している。
こういった取り組みを地道に続けたことにより、「管理職の考え方が変わってきたと感じる機会も増えた」と宮岸さん。男性育休の推進やなりきり社員研修について、今後はどのようなアップデートを加える予定なのか。
なりきりプロジェクトはまだトライアル段階だが、両立社員だけでなく職場全体で考えるきっかけができたのは非常に大きいと宮岸さん。11月にはプロジェクトメンバーによる振り返り論議の場を設ける予定で、なりきり社員や職場メンバーの感想・意見を出し合い、ブラッシュアップする予定だ。
既になりきり社員からは、「育児中の社員を支える立場の社員にも支援が必要」という声が上がっており、取り組みに関する声を広く集めることで「みんなが仕事とプライベートを大切にしながら総活躍できる会社にするにはどうすればいいか」を人事部だけでなく、かけはしプロジェクトのメンバー全員で考えていく。
「男性育休」では、取りたい人が取りたいだけ育休を取れる状態を目指し、推進する。これは男性社員の育児、家事に参画したいという気持ちに応えるだけでなく、共働きで頑張っている女性社員を支える大きな施策として、女性の社会進出促進にもつながると分析している。
「多様な働き方の推進は職場の活性化や成長、世の中への貢献につながっており、ダイバーシティ推進や働き方改革をなくして成長はありません」(沓掛さん)
さまざまな社員が集まる職場において、違いを認め合い、組織としてどう結果を出すかと考えたときに、互いにおかれた環境を理解することは必要不可欠だろう。同社は今後も、多様な社員が総活躍できる会社の実現を目指し、職場一体となって進んでいく。
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