育児や介護、リスキリング機会の増加――。近年、働き方は多様化し、子育てや介護と仕事の「両立社員」をはじめ、両立社員をサポートする周囲の従業員への支援にも注目が集まるようになった。
損害保険事業を展開するあいおいニッセイ同和損害保険(東京都渋谷区)は、職場の社員1人が育児中社員になりきり、勤務時間の制約や急な退社要請を疑似体験する「なりきりプロジェクト」を実施した。同研修は社内だけにとどまらず、関係先や代理店にも事前に説明し協力を依頼するなど、本格的に行ったという。一体どのような研修だったのだろうか?
研修の内容や目的、同社の目指す多様な働き方について、人事部 ダイバーシティ推進室の沓掛明恵室長、宮岸安弥子主任に話を聞いた。
なりきりプロジェクトでは、事前に職場社員と責任者が選定した社員1人を「育児中社員」とし、実際に育児中の社員が直面する勤務時間の制約や突発的な退社を疑似体験する。期間は2週間で、周囲の社員も体験社員の業務をカバーしながら、職場全体で業務との両立について考える「体験型研修」だ。
同社では2022年7月から、社員のエンゲージメント向上を図るための社内副業制度「かけはしプロジェクト」を実施しており、「なりきりプロジェクト」はその一つとして、23年9〜10月に実施した。
なりきり社員は期間中、保育園への送迎を想定し、午前9時〜午後5時の定時出退勤となる。さらに期間内に2度、保育園からのお迎えを求める突発的な連絡が入り、退社しなければならない。帰宅後は勤務を避け、家事に従事することが原則だという。
なりきり社員では、事前準備として社内での引き継ぎの他、突発的な退社もあるため、必要に応じて関係先や代理店にも訪問し、研修の趣旨説明と協力依頼を行う。同プロジェクトは関係企業先からも「多様な働き方の理解浸透が進む面白い取り組みだと思う」「多様な働き方が可能になっているご時世、組織全体で両立を受容することが大切になっており、それを体験できるプロジェクトに賛同する」と協力的な意見が上がったという。
「なりきりプロジェクト」実施の背景にはどのような意図があったのだろうか。
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