指示ナシ組織で中間管理職を救え! 「忙しすぎ問題」の背景に2つの元凶(1/3 ページ)

» 2023年10月31日 07時45分 公開
[渡辺まりかITmedia]

 「忙しそう」「辛そう」「割に合わなさそう」──そんなイメージが付きまとう中間管理職。リクルートマネジメントソリューションズの調査では、約65%が「ミドルマネジメント層(中間管理職)の負担が過重になっている」と回答した。では、中間管理職の働き方にはどのような課題があるのだろうか。それらを解決する方法はあるのだろうか。

 リクルートマネジメントソリューションズ HRDサービス開発部トレーニング開発グループ 主任研究員 木越智彰氏に話を聞いた。

忙しいのに……「プレイヤー業務」も担う中間管理職

会社の組織課題 会社の組織課題についての調査。「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」が人事担当者、管理職層のどちらも約65%となっている。出典:マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2023年

 中間管理職の主な仕事は部下の“管理”、つまりマネジメント業務だ。

 とはいえ、中間管理職にある人がマネジメントに割ける時間はそれほど多くない。前述の調査によれば、マネジメント業務が仕事の半分であると答えた人は20.7%で、38.0%の人は半分以下であると回答している。裏を返せば、半数以上(58.7%)の中間管理職が仕事の半分以上の時間を「プレイヤー業務」に当てているのだ。

マネジメント業務の比率 管理職層にマネジメント業務の比率をたずねた結果。出典:マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2023年

 調査では「メンバーに知識・スキルが不足しており、仕事を一任できない」というのがその主な理由として挙げられているが、実際には多くの職場が人手不足だという課題がある。そのため、自分が手を動かさないと仕事が滞ってしまう。

 中間管理職がプレイヤー業務を行いたくない、行うのが悪いのかというとそういうわけではない。木越氏は「自分の専門性を高め続けたいという理由でプレイヤー業務を担う人も多くいます。研修では、指導やアドバイスをできるよう実力を保ち続けるため、技術が錆びつかないように現場業務に携わっているという人もいました」と指摘する。

 木越氏は「マネジメント業務の占める割合は、5〜8割が現実的なラインだ」とする。「プレイヤー業務の中のどこを担うかを選べば忙しさは軽減する」としたうえで、次のようなアドバイスをする。

 「プレイヤー業務の中には、マネジャーレベルの権限や実力、他部署との連携能力などがないとできないものがあります。プレイヤー業務を担う際は、マネジャーとしての高いスキルや知見を生かせる領域を選んでほしいですね」(木越氏)

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