プレイヤー業務による負荷が原因ではないとすれば、何が中間管理職の人たちを忙しくさせているのだろうか。
木越氏は「2つの要素がある」と言う。一つは業務、もう一つは人(マネジメント)だ。
まずは業務の側面から見ていこう。
会社を取り巻く社会環境は目まぐるしく変化している。企業間競争は激化し、新たな競合が次々に参入してくる。日々、技術の進歩も速度を上げているため、事業の見通しを立てるのが難しく、経営層も中長期的な戦略を立てづらくなっている。
そのため、抽象度の高い戦略方針のみを経営層が担い、「どのようにやるか」という具体的な部分のプランニングは、現場で顧客や知見のキャッチアップをしている中間管理職がすることになる。以前であれば、経営層の行っていた中長期的な戦略立案が、中間管理職に降ってきてしまっているのだ。
さらに、世の中のDXの波で、これまでプレイヤーとして携わっていた業務上の経験だけでは太刀打ちできない場面も増えてきている。業務がどんどん複雑化し、難易度が上がる中、経験だけではどうにもならない業務が増え、中間管理職を忙しくさせてしまうのだ。
では、人の面ではどうだろうか。
これにも、社会環境の変化が関係してくる。というのも、国籍、年代、雇用形態など、マネジメントすべきメンバーの属性が多様化してきているため、マネジメント方法も一様にはいかないのだ。個人の考え方や、それぞれが抱くキャリアプランに合わせたマネジメントを行わなければならない。
そのための1on1を定期的に行おうとすると、中間管理職にいる人もメンバーも時間を取られ負担になることも。お互いのためになるはずの1on1なのに、管理職が余計忙しくなってしまう――といったジレンマが生じてしまう。
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