コロナ禍による自粛ムードも落ち着き、会社員の出社率が高まっている。リモートワークを取りやめ、原則出社に舵を切った企業も散見される。せっかくここまでリモートワークに慣れてきて、活用方法も分かってきたのに、残念な気がする。
とはいえ、ハイブリッドワーク制度を採用し、たとえ週一回でもリモートワークを認める企業がいまだ大勢を占めている。リモートワークの頻度はともかくとして、ハイブリッドワークが今後も定着し、主流派となっていくのは、抗いようのない事実である。
新型コロナウイルス感染症は、2019年12月初旬に中国で第1例目の感染者が報告されてから、わずか数カ月ほどの間にパンデミックとなった。日本では、2020年の4月に緊急事態宣言が発出され、多くの企業で強制的な在宅勤務が始まった。
突如として増えたオンライン会議のため、パソコン、wi-fi、ヘッドセット、カメラなどが品薄になり、総務も大慌てでその確保に走った。一方で、多くの社員が自社サーバーにアクセスしことにより、サーバーがダウン、時間を区切って利用されるように対応した企業もあったようだ。
オンライン会議に慣れ始めてからでてきた課題が、コミュニケーション不足だ。雑談が減り、つながり感が薄くなり、若手メンバーを中心にメンタル不全に陥いるケースも多かった。
オンライン会議のメリットは感じながらも、組織基盤へのダメージがフォーカスされた。今まで全くと言っていいほど、在宅勤務をしてなかった日本人にとって、まさに未体験ゾーンへの突入であった。
メリットはありつつも、負の側面が強調され、コロナが5類になった今日、コロナ前の状態に戻りつつある。強烈な現状維持バイアスのもと、コロナ前の景色が目の前に繰り広げられているのだ。このまま昔の世界に戻っていいのだろうか?
ITmedia ビジネスオンラインの読者調査によると、ハイブリッドワークの課題は「コミュニケーション不足」「オフィスの会議室不足」「部下・同僚が何をしているのか分からない・把握しづらい」の順に回答が多い。
こうしたハイブリットワークの課題は大きく分けて2種類に分かれる。一つは、離れて仕事をすることによる問題と、ハイブリッドワークにより進展したオンライン会議の活用により生み出された、ある意味、前向きな課題である。
「コミュニケーション不足」「メンバーの状況が分からない」「誰が出社しているか分からない」などは、まさに離れて仕事をすることによるハイブリットワークならではの課題である。
オンライン会議の増加により個別ブースが欲しい、会議室が不足している、インフラが脆弱でアクセスしづらいといった不満は、ハイブリッドワーク推進によって新たに生まれた前向きな課題といえる。
離れて仕事をすることによる課題には、対処方法がないでもない。ハイブリッドワークにおいて、出社する日を合わせておく、位置情報システムで把握する、仕事の状況をITツールで共有するなど、工夫すればなんとかなるはずである。むしろ、一つ一つ何とか対処していくことで、さまざまな業務が効率化するのではないだろうか。
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