「渋谷に来ないで作戦」は成功か ハロウィーン対応を誤れば、街が衰退するスピン経済の歩き方(5/7 ページ)

» 2023年10月31日 10時46分 公開
[窪田順生ITmedia]

「池袋ハロウィーン」を参考に

 筆者も若いときにサンボードロモでサンバチームの踊りを見たが、すさまじい数の観客が熱狂に包まれていて、まるで大きなサッカースタジアムで試合を観戦しているようなノリだった。

 このように巨大な会場内でサンバカーニバルをやっているので、市内で行われる「主催者のいない自然発生的な路上イベント」はわりと静かだった。本当に近所の人が集まって、酒を飲んで適当に踊っているという感じで、こっちはこっちで趣があった。

 という話を聞くと、「それは海外だから」「そもそもハロウィーンは日本古来のイベントでもなんでもない」とかなんとかいろいろな理由をつけて「やらない」方向に持っていきたがる人も多いが、既にこのような世界的な潮流があることを理解している人々は、どんどんイベントにゾーニングを取り入れている。

 その代表が、10月28日から29日にかけて行われた「池袋ハロウィーン」だ。

「池袋ハロウィーン」は有料イベントも(出典:池袋ハロウィンコスプレフェス実行委員会)

 「渋谷ハロウィーン」と名前は似ているが、こちらは今年で10周年を迎える、しっかりとした「主催者のいる会場型イベント」だ。コスプレをする人や撮影するカメラマンは2500円から3500円のチケットを購入して参加する。参加者は「移動可能エリア」が決められていて、東池袋中央公園やサンシャインシティなど、街中で定められた撮影スポットをめぐる。協力している店舗の中に入って撮影もできる。

 ルールと対応もしっかりしている。「路上飲酒はお控えください」という呼びかけはもちろん、「会場などを汚損、破損する行為や、物を投げる、振り回すなど、他の人に迷惑となる行為」や卑猥なポーズでの撮影や過度な露出も禁止している。そして、こう呼びかけているのだ。

 「迷惑・違法行為を行った場合、しかるべき機関に通報し、今後弊社主催のイベントへの入場を一切お断りします。ご理解いただけない場合は、会場からのご退場、データ削除や機材の没収、以後の入場拒否など、さまざまな処置をとります」

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