「会場」をつくれないというのなら、例えば、ハロウィーン期間は渋谷駅周辺のどこか一角を封鎖して歩行者天国にして、入場料を取って入らせるようにしてもいい。もちろん、その区画で働く人とかには、あらかじめ無料通行パスなどを渡しておく。会場内には警備員や清掃員もいるので、限られたスペース内でハメを外させて、平時の渋谷に用事がある人たちと行動がぶつからないようにするのだ。
「そんなバカなことができるわけがない」と笑うだろうが、観光公害が深刻な世界ではこれくらいのゾーニングは当たり前にやっている。「マナーを守れ」という精神論を声高に叫んで人々の意識がコロッと変わるなら、そもそも戦争や民族紛争など起きていない。システムを導入することで人の行動を変えていくというのが世界の発想なのだ。
これからの日本に必要なのは「ハロウィーンの渋谷には来るな」という排外的な態度ではなく、「ハロウィーンの渋谷に来たい」人たちをアイデアやテクノロジーでどうやって受け入れていくべきかといった柔軟な姿勢ではないのか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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