人手不足が深刻化しているといわれるタクシー業界。帝国データバンクによると、従業員数が10年前から半数以下に減少したタクシー会社が14.5%(352社)にのぼったほか、半数の会社が赤字であることが分かった。2023年8月末時点における全国のタクシー・ハイヤー企業を調査・分析した。
10年前と比較して、ドライバーを含めた従業員数が「減少した」と回答した企業は、対象2428社のうち69.7%(1691社)を占めた。このうち「半減以上」と回答した企業は14.5%(352社)。
1社当たりの従業員数を見ると、13年は平均で66人/社の水準だったところ、23年8月時点では52人/社に減少。特にコロナ禍でタクシーの売り上げが大きく落ち込んだ20〜22年にかけて、前年からの減少率が拡大した。
従業員数が「半減」と回答した企業の割合を都道府県別(本社所在地)に見ると、最も高かったのは「茨城県」で29.2%。以下「香川県」(29.0%)、「奈良県」(25.0%)が続き、地方を拠点とする企業が上位を占めた。
タクシー業界ではドライバーの確保に向け、賃上げによる待遇向上の必要性が指摘されているものの、22年度の調査では46.7%と半数近くが赤字の状況だ。一方で「増益」と回答した企業は21年度が26.1%だったところ、22年度は43.1%と増加している。移動制限の緩和に伴う需要の高まりや初乗り料金の上限引き上げなど、追い風もある。
帝国データバンクは「時給制の採用や、企業内保育所の設置などでスポット的に働ける環境を整備し、女性ドライバーの応募を獲得するケースもある」とコメント。勤務体系や福利厚生など、待遇面での柔軟な対応がこれからより一層必要になるとした。
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