「教えて! ChatGPT 先生『霊長類最強の女性に勝つ方法』」「ChatGPTで、Excelにない関数を作ろう!」――note上でChatGPTに関する情報を発信する「自治体AI活用マガジン」をご存じだろうか? フランクなタイトルの記事が並んでいる。
これらの記事を執筆しているのは、全国15の地方自治体だ。カジュアルでありながら、ChatGPTへの理解が深まるテーマを採用している。
自治体が持つ堅いイメージとは対極にある、面白く親しみやすい同マガジンはどのように生まれたのか。運営を担当する横須賀市 デジタル・ガバメント推進室の寒川孝之室長と太田耕平さんに聞いた。
「教えて! ChatGPT 先生『霊長類最強の女性に勝つ方法』」――。
これは、埼玉県志木市デジタル推進課がnote上に公開している記事の見出しだ。同市が開いた勉強会で、ChatGPTに「霊長類最強の女性に勝つ方法」を聞いたといい、その結果をnoteで発信している。
ChatGPTからは「体力勝負ではなく、自分の得意分野で戦う」「知識を駆使するクイズなどのゲームを選ぶ」「スポーツマンシップを保ちつつ全力で挑む」――といった回答が返ってきたという。
その他、レスリング以外で勝てる可能性がある競技なども質問し、それなりに精度の高い回答が返ってきたという。
自治体AI活用マガジンは、2023年8月、横須賀市が中心となり、note(東京都千代田区)が運営するメディアプラットフォーム「note」上に誕生した。
横須賀市が自治体で初めてChatGPTを導入した際の過程をまとめた「市役所にたった1カ月でChatGPTを導入した話」をはじめ、生成AIを使った取り組みの様子をまとめた目黒区の「生成AIを活用して、マネジメント力を試す取組を行ってみる」など、どういうことに気を付けてChatGPTを活用すべきかを、AI先進自治体から学べるコンテンツとして提供している。
自治体AI活用マガジンは、横須賀市を含めた15の自治体で展開している。読者ターゲットは「これから生成AIを導入しようとしている自治体」としているが、自治体に限らず導入を検討している企業や個人もターゲットだという。企業や個人であっても、マガジンを読んでもらうことで初めて「こういう取り組みをしよう」と検討する一歩になると考える。
「とにかくオープンな内容で、オープンな組織を目指しています」と寒川さん。
マガジンのコンセプトは「ゆるくつながって、ゆるく発信しよう」。専門用語を並べるだけでは、多くの人に気軽に読んでもらうことは難しい。そこで「生成AIについて発信すること」以外のルールは設けないことにした。
ゆるく発信するという点で、はじめは他の自治体から懸念の声もあったが、寒川さんは「ゆるさにはそれぞれの基準がある」と説明する。
「ゆるくなければいけないというわけではありません。意識せず『堅くなくていい』という意味で、ゆるいという言葉を使用しています」
だが生成AIに関する情報を発信するのであれば、横須賀市のWebサイトで公開することもできたはず。なぜ他の自治体と手を取って「自治体AI活用マガジン」を立ち上げたのだろうか。
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