テレビ番組の制作会社が倒産するケースが増えている。東京商工リサーチによると、2023年1〜9月の倒産が14件に達し、前年同期と比較して2.3倍のペースであることが分かった。過去10年間で最悪のペースだという。日本産業分類における「テレビジョン番組制作業」のうち、負債1000万円以上の企業を対象に集計・分析した。
過去10年間の通年で倒産が最多だったのは、18年の13件。23年は9月までで既に上回っている。倒産した14件を資本金別に見ると、11件(78.5%)が1000万円未満の企業だった。資本金別で最も倒産が多かった金額帯は「100万〜500万円未満」で7件。全体のうち半数を占めた。
負債額別では「5000万円以上」が2件(14.2%)で、倒産企業における最大の負債額も6800万円と、1億円に満たなかった。東京商工リサーチは「規模が小さい企業が多く、社会保険料や法人税などの負担も限定的で、負債の大型化を抑制している」と分析する。
従業員数別では「5人未満」が92.8%を占め、代表者を含めて従業員が数人の小・零細規模で倒産が目立った。従業員が少ない企業は財務面が盤石ではないことも多く、コロナ禍における急激な受注減への対応が困難だったとみられる。
制作している番組を基に分析すると、旅・グルメ番組などをメインに請け負う企業の倒産が目立った。コロナ禍における外出自粛要請の長期化が受注減少に影響したとみられる。テレビメディアの広告費は漸減傾向にあることも逆風だ。海外のコンテンツサービス企業の台頭やネット配信番組が勢いを伸ばしていることもあり、東京商工リサーチは「倒産はしばらく高水準をたどる可能性が高い」としている。
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