CxO Insights

米スターバックスの「男女格差対策」がすごい 日本企業でもマネできる一歩は(1/3 ページ)

» 2023年11月20日 09時20分 公開

 2023年のノーベル経済学賞を、男女の賃金格差の要因や労働市場における女性の役割などの研究で知られるクラウディア・ゴールディン米ハーバード大教授が受賞し話題になりました。賃金を含めた社会における男女格差は、グローバルでも大きな問題として取り上げられています。

 そのような中、日本のジェンダー不平等は世界的に見て深刻な状況にあります。

 世界経済フォーラムが本年に発表した「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)の23年版において、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位で、116位だった前年からさらに後退し、06年の発表開始以来最低となりました。

 世界銀行が3月に公表した経済的な権利を巡る男女格差の最新調査では、日本は総合点で世界104位、22年の103位からさらに後退し、主に先進国で構成されるOECD加盟38カ国の中では最下位となっています。

「ジェンダーペイギャップ報告書」での日本の順位は、146カ国中125位(内閣府男女共同参画局の資料より)

 OECDの統計でも、日本人女性の賃金は男性と比べ21.3%低く、OECD加盟国平均の11.9%に比べても格差が非常に大きいことが分かっています。女性管理職比率もILO(国際労働機関)の19年調査では先進7カ国中、最下位の14.7%。世界でも167位と非常に低い数字となっています。

 国内では制度改正に伴い本年から企業の男女賃金格差の公表が本格化しました。賃金の全体平均は、男性を100とした場合に女性は70.8%で、特に「金融・保険・不動産業」では64.7%と、差が大きいことが改めて浮き彫りになりました。

 こうしたデータは、みなさんもこれまでに目にしたことがあるかもしれません。しかし「具体的にどうしたらいいのか分からない」「育休取得率や管理職比率などの対策はしているものの、根本的な解決につながっている実感がない」といった企業が多いのではないでしょうか。

 ジェンダー不平等にどのように対応していけばよいのか、またそれらの対応についてどのように開示していけばよいのか、多くの日本企業が悩んでいるのが実態です。

重要なのは、要因分析と打ち手のセット

 現在、多くの日本企業で実施しているのは「打ち手先行」の取り組みや開示です。

 「育児休暇取得率の向上に向けて、○○に取り組んでいる」「働きやすい職場づくりに向けた会議を実施している」など、多くの企業がジェンダー不平等の解消に向けた施策(=打ち手)に網羅的に取り組み、開示を進めています。

 しかし、現在取り組んでいる施策を並べるだけでは、それらの施策がなぜその企業の中のジェンダー不平等の解消につながるのか、本当に効果的な施策なのかどうか、株主を含むステークホルダーは理解できません。

米スターバックスの要因分析と打ち手、何がすごい?

 具体的なジェンダー不平等解消施策の検討にあたっては、企業は自社のジェンダー不平等の要因分析を行い、その要因に適切に対処することが重要です。米国のスターバックスが分かりやすく取り組みを開示していますので、その内容を紹介します。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.