ディスカウント王者・オーケーの銀座進出が「勝ち確」と言える3つの理由小売・流通アナリストの視点(2/4 ページ)

» 2023年11月22日 07時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

富裕層も納得する“コスパ”の高さ

 安売りスーパーが富裕層の多い都内中心エリアで成立するか、ということについては多分余計なお世話だろう。

 オーケーの本社ビルは横浜みなとみらい地区にあって、その建物の3階には大型店であるみなとみらい店を営業している。銀座とまではいかないが、みなとみらい店の商圏エリアには、高層オフィスビル、ホテル、イベントホールが林立。大型商業施設も数多く、周辺部にタワーマンションが立ち並ぶ様子は、都内の豊洲的な立地といえる。そこでもオーケーは大繁盛しており、おそらくオーケー各店の中でも上位クラスの売り上げを確保していると思われる。

 みなとみらい店や新山下店の駐車場をチェックすれば分かるのだが、停まっているクルマは外車など高級車がズラリと並んでいる。オーケーは消費者から安物を売る店と思われているのではなく、コスパの高い店として周知されている。そのため、富裕層も抵抗なく買い物できる店なのだ。

k コスパにうるさい富裕層からも高い評価を獲得(同社公式Xより引用)

 オーケーは基本的にプライベートブランドをほとんど扱わず、ナショナルブランド商品を安く提供する店として認識されており、実はコスパにうるさい富裕層からの評価は高い。これは、銀座やお隣の築地などの住民にも十分通用する価値なのである。

 その上、オーケーはもともと飲食店などの業務筋からも高い支持を得ているといえる。平日のレジの様子を見ていると分かるが、どう考えても一般家庭のまとめ買いとは違う、複数台のカートの支払いをしている客層をたくさん目にする。

k 飲食店などの業務筋からも高い支持(同社公式Xより引用)
k 業務用においても十分に安いと評価される価格水準(同社公式Xより引用)

 業務用においても十分に安いと評価される価格水準であるため、オーケーの売り上げは飲食店によっても下支えされていると考えられる。この点でも、日本有数の飲食店街である銀座は、オーケーにとっては願ってもない好立地だといえるだろう。

 また、銀座店の報道で話題になっているのが、オフィス街における昼食などの需要。これも相当な売り上げが期待できるはずだ。ご存じの通り、オフィス街では限られた時間で昼食を取らねばならない。ともすれば「昼食難民」になりかねない上、銀座で手軽な値段の昼食を取ることは、このご時世、至難の業である。オーケーの格安弁当や総菜は明らかにコンビニより安い価格水準であり、オフィス街の昼食需要の新たな選択肢として認知されるようになるだろう。

k オフィス街の昼食需要も追い風(同社公式Xより引用)

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