嫌われる上司の「デスク爆弾」 ストレスフリーな雑談は、どうすれば生まれる?(2/3 ページ)

» 2023年11月24日 07時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

ちょうどいい雑談が生まれやすくなる5つの条件とは?

 「部下にデスク爆弾だと思われているかも……」と胸騒ぎを覚えた人もいるかもしれない。そんな雑談にまつわる課題を解決するヒントとなりそうな調査結果を、飲料メーカーのサントリーが発表した。

 同社は2021年10月から、オフィスにおける社員同士の雑談のきっかけを作ろうと、新たな法人向けサービス「社長のおごり自販機」を展開している。社員2人が専用の自販機に社員証を同時にタッチすると、無料で飲料が出てくる。「社長のおごり」というユニークなネーミングが目を引くが、飲み物の費用は設置先の法人が負担する仕組みだ。

サントリーの「社長のおごり自販機」(同社提供)

 同自販機の設置企業は導入から2年で360社を超え、設置台数は22年の160台から23年10月末時点で480台と約3倍に増加しているという。

 同社は、社員同士の「ちょうどいい雑談」が生まれる条件を探るべく、同自販機の設置企業120社にアンケート調査を実施。清水教授が監修・分析した。

 アンケートで同自販機について印象を尋ねたところ「気軽に誘いやすい」(85票)、「誘われる方も気軽に応じられる」(94票)といった意見が多く挙がった。「タッチする際の共同作業」(52票)や「ゲーム性」(19票)に面白さを感じるという回答もあった。

 これらの回答結果から、同社と清水教授は「雑談が生まれやすくなる5条件」として以下の5つを見出した。

「雑談が生まれやすくなる5条件」

(1)終わりの時間がよめる

(2)ながら・ついで

(3)共同作業

(4)目の前にある共通の話題

(5)適度な距離でヨコ並び

 アンケートで聞いた同自販機を用いた平均雑談時間は約3分。一方で、9分を超えると雑談が「長い」と感じられることも分かった。

「社長のおごり自販機」を設置しているANAエアポートサービスでは自販機の前に行列ができている

 雑談そのものが目的ではなく、飲み物を飲む「ついで」、飲み「ながら」雑談が生まれる点も、気まずい空気を生まずリラックスして雑談ができる条件だという。また飲み物という「共通の話題」があることで、相手との心理的距離を縮める効果があるほか、自販機に2人でヨコ並びに向き合う姿勢も「距離が適度に開き、視界が開け圧迫されず、リラックスしやすい効果がある」(清水教授)という。

 これらの5つの条件は、社員同士のコミュニケーションについて課題を抱く企業にとっても、参考となる点が大いにありそうだ。

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