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「想像を超えたレベル」 レコチョク責任者がChatGPTに驚愕した理由音楽業界のIT部門(2/2 ページ)

» 2023年11月28日 08時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
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DXで遅れた音楽業界 24年春にプロダクト提供

──それでwith AI プロジェクトを6月末に始めたわけですね。何から取り組んでいますか。

松嶋: まずは社内の業務効率化から生成AIに関するノウハウを蓄積しながら、AIにできることと、できないことを検討しています。レコチョクは「音楽業界のIT部門」を目指しているので、最終的にはそこに向かっていくべきだと思っています。ただいきなり生成AIに関する製品をプロダクトアウトすることは現実的ではないので、まずは活用できる方法を社内での取り組みから模索しています。

 社内では先ほどのSaaSの例のように、エンジニアの開発効率、全社員の業務効率を上げるところから取り組んでいます。これをステップ1として社内の業務効率化で徹底的にノウハウをため、ステップ2として社外にプロダクトとして展開していきたいと考えています。

──ステップ2としては、音楽業界向けのソリューションビジネスにおける生成AI活用を考えていると思います。現段階では、どんなものを考えていますか?

松嶋: 国内の音楽業界全体で見ると、DXという側面では時間がかかっていると考えています。レコード会社もマネジメント会社もヒットに専念する必要があるので、ここは致し方ないところがあると思います。

 ですからわれわれがサポートできるところはITでサポートして、音楽業界の方々にはよりヒット創出やアーティストマネジメントに専念できる環境を提供することが当社の考え方です。生成AIによる社内の業務効率向上のノウハウは、そのまま音楽業界の方々にも提供できると思っています。ここは24年春を目指してプロダクトを出していきたいと思っています。

 プロダクト内容は今まさにブラッシュアップしているタイミングなのですが、大きく2つを考えています。

 一つは、社内業務を生成AIを活用して生産性を上げるものになります。例えば今、レコード会社のDX支援事業も手掛けていますが、楽曲をDSP(デジタル音楽配信事業者)へ配信する際は、各DSPで必要なメタ情報に微妙な違いがあります。ここは現在、手作業で対応していて、新譜だけならまだ対応可能なのですが、未配信のカタログ(旧譜)となると、大量にあるので、対応する際はオペレーション不足や費用対効果が合わないといった課題があります。

 このような領域こそ生成AIが得意とするジャンルなので、音楽業界ならではの業務における課題解決はもちろんのこと、その他の会社の業務でも生成AIを活用する部分への支援を提供予定です。

 もう一つ、可能性を感じているのが楽曲制作などクリエイティブな分野を支援する部分です。ただこれは著作権をはじめとした問題があるので、緩やかに見ています。

photo デジタルをけん引し「音楽業界のIT部門」を自称(レコチョクweb3プロジェクトより)
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