このようなやりとりを受けて、冒頭のような「パワハラ批判」が盛り上がったというわけだ。
さて、そこで気になるのは、なぜこんなことになってしまったのかということだろう。イートアンドホールディングスは大阪王将の運営のみならず、冷凍食品事業や海外展開も手がける大企業で、東証プライムに上場している。
ダイバーシティやらサステナブルやらの話が、株価に直結する上場企業トップが、なぜテレビ番組で「部下の話を途中で遮って厳しくダメ出し」というパワハラが連想されるような振る舞いを見せてしまったのか。
いろいろなご意見があるだろうが、筆者としては大阪王将が「職人育成」をフィーチャーしていることと無関係ではないと考えている。
ご存じの方もいらっしゃるだろうが、実は大阪王将というのは日本の伝統的な商習慣「暖簾分け」を取り入れた「NORENチャイズ」というシステムで成長してきた。
同社のWebサイトによると、NORENチャイズでは、加盟店の利益が安定するまで1年間は店舗運営の指導を行い、その際には売り上げの2%を運営指導費としてもらうが、それ以降は商標使用料として売り上げの1%のみで、ロイヤリティゼロだという。しかも、販促活動も取引先もオーナーが自由に選べるし、メニューも独自で開発・変更していいというのだ。
そんなNORENチャイズについて、文野会長は2022年4月に出演したラジオ番組でこのようにおっしゃっている。
「技術を継承していくこと。職人を育成していくというのが僕たちの仕組み」(InterFM お店ラジオ supported by スマレジ 22年4月10日)
つまり、NORENチャイズというのは、大阪王将の看板を背負って恥ずかしくない職人を育てて、それぞれのエリアで愛される町中華としての一本立ちをさせていくシステムなのだ。
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