新卒4年目。突如としてプロダクトマネジャー(以下、PM)チームのサブリーダーに抜擢(ばってき)された1人の会社員は苦悩していた。PMもリーダーも未経験という状況の中で、その職に就いてまもなく、リーダーに昇格してしまったのだ。
何もかも手探り状態の中、メンバーは次々と退職していく。信頼を寄せていたサブリーダー社員も会社を去った。その日は帰宅後、後悔と悲しさで“ガチ泣き”したという。
チーム崩壊──そんな言葉がよぎるような状況を再建したのが、カヤックで当時は企画部プロジェクトマネージャーを務めていた高田一史氏(現在は人事部)だ。どのようにチーム崩壊を食い止め、再建していったのだろうか。
ことの発端は2016年にさかのぼる。新卒4年目にして、PMチームのサブリーダーに高田氏が抜擢されたのだ。
カヤックでは、プロジェクトへPMチームからPMを派遣するという方式を取っている。サブリーダーに任命された当時は「制作進行経験もあるから、なんとかなるだろう」と考えていた高田氏だが、その直後にチームリーダーが退職。エスカレーター式にリーダーに昇格した。
「社内的にPMの役割が定義されているわけではなかった上、自分自身がリーダー業務でなにをすればいいのかがイメージできていなかった」と高田氏は振り返る。「役割先行で実体が伴っていなかったところからのスタートだったため、戸惑うことが多くありました」(高田氏)
それから2年。チームメンバーが相次いで退職していく。リーダー就任時16人いたメンバーのうち、20年まで残っていたのはわずか3人。流出が止まらず、チームは崩壊寸前にまで追い込まれた。
一体何がメンバーを退職に追い込んでいたのだろうか。高田氏は「やりがいを感じられなかったことが一番の課題だった」と言う。
「PMという役割名ばかりが先行していて、何を期待されているのか、何をすべきなのか分からなかったし、メンバー個々人も考えがバラバラ。期待されていることと、できることのギャップもあったようです」(高田氏)
幸せでいてほしい、楽しく仕事をしてほしいという高田氏の思いと裏腹に、役割と実態のギャップで苦しみつつ疲弊しきって去っていくメンバーたち。誰が言ったわけではなくとも「お前、マネジメントできていないだろ?」と聞こえてくるようだったという。多大なプレッシャーを感じながら、高田氏は対策に動き始めた。
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