危機をチャンスに変える ホテルニューアワジの発想力(6/6 ページ)

» 2023年12月04日 09時28分 公開
[産経新聞]
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 一方、淡路島には近年、観光資源の成長可能性に着目し、参入企業が増えている。人材派遣大手のパソナグループは淡路島に本社機能を移し、テーマパークやカフェなどを開発。また、米ホテル大手マリオット・インターナショナルも積水ハウスと組み、道の駅に隣接した2軒の宿泊特化型ホテルを開業させている。

 パソナについては「若者を中心に日帰り客が多く、わが社とうまくすみ分けができている」と話す。道の駅ホテルは宿泊業としては競合するが、客が流れるといった影響は全くないといい、「本来、淡路島に求められているのはおいしい食や自然、旅館のもてなし」と自信をのぞかせる。

 7年開催の大阪・関西万博も見据え、「島全体で宿泊客の受け皿を増やす必要性があり、いろいろなホテルができれば島の魅力の一つになる」とも。万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市)と淡路島を航路でつなぐ大阪府市と交通事業者の計画にも触れ、長年の課題である首都圏からの客や訪日外国人客の増加にもつながるとみて「淡路島に一層、関心が集まる」と夢を描いている。(聞き手 田村慶子)

きのした・こういち 昭和18年、京都市生まれ。神戸商科大を卒業後、41年に全薬工業入社。43年にホテルニューアワジへ移り、平成5年に社長に就任した。27年から会長。淡路島観光協会会長、洲本商工会議所会頭などを務めた。18年に藍綬褒章、令和4年に旭日小綬章を受章。


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